もうすぐ9月ですが、まだ暑い日が続きます。夏の疲れが出る時期なので、今回は清暑益気湯(せいしょえっきとう)を紹介しましょう。
この漢方薬は、食欲が出ない、便が軟らかくなる、のぼせ・ほてりがある、全身がだるいなど、いわゆる夏バテ、夏負けといった夏の暑さによって起きる症状によく利用されます。
暑さで弱ってしまった胃腸の調子を整え、体力の回復を補い、元気を取り戻すことを目的にしています。読んで字のごとく、「暑さを清め、気を補う」という意味の薬です。
清暑益気湯には出典の違いで2種類あります。
一つは、中国の医学書「内外傷弁惑論(ないがいしょうべんわくろん)」(1247年)を出典とするものです。15種類の生薬からなります。
もう一つは、明の時代の医学書「医学六要(いがくりくよう)」(1585年)を出典とするもので、9種類の生薬からなります。
現在、一般的に利用されている清暑益気湯は、後者の「医学六要」を出典とするものになります。そして2種類を区別するために、後者をあえて「近製清暑益気湯」と呼ぶ場合もあります。明の時代に考えられた処方が、現代でも十分な効果を発揮するのです。
現在では、昔と違って体を冷やし過ぎる傾向があります。エアコンで部屋を冷やし過ぎない、冷たいものを飲み過ぎないなど、日常生活で少し注意するだけでも体調を保ちやすくなるでしょう。