Q アレルギー持ちなので、昔から漢方薬を飲む機会がよくあります。ところで、同じ漢方薬でも煎剤、錠剤、顆粒剤など、いろいろな薬のタイプがあって、迷います。よく効くのはどれですか。 (34歳・女性)
A 漢方薬は、薬効成分のある生薬を組み合わせたものです。その生薬とは、主に植物の草根木皮ですが、中には、マンシュウジカの角(生薬名は鹿茸)とか、鉄粉(生薬名は鍼砂)など、動物性や鉱物性の生薬があります。
少なくとも2種類、多ければ10種類以上の生薬を組み合わせ、何らかの形にまとめて漢方薬とするのですが、このまとめ方でさまざまな漢方薬の剤型が出来上がります。
そして昔から、飲みやすさ、携帯しやすさ、効果の出やすさなどを目的に、さまざまな剤型が試みられてきました。
昔の剤型を少し紹介します。
- 煎剤(せんざい) 生薬を煎じて飲むもの
- 散剤(さんざい) 生薬を粉末にして飲むもの
- 丸剤(がんざい) 生薬の粉末を練って、玉状にして飲むもの
- 煉薬(れんやく) 生薬の粉末を練って固形にして飲むもの
- 酒剤(しゅざい) 生薬を酒に漬けて、その酒を飲むもの
- 燻薬(くんやく) 生薬を焼いたその煙を吸引するもの
- 膏薬(こうやく) 皮膚に塗ったり張ったりするもの
- 坐薬(ざやく) 肛門や陰部に挿入するもの
- 洗薬(せんやく) 生薬を煎じた汁で患部を洗うもの
- 浴剤(よくざい) 薬湯にして入浴するもの
こうしてみると、昔は多くの剤型があったものです。現在はもうありませんが、燻薬などは大変凝った服用方法です。
これらのうち、現代でもよく使われる剤型は、煎剤、散剤、丸剤です。さらに、昔はなかったけれども現代において最もよく使われているのが、錠剤と顆粒剤です。
そして、効果が最も高い剤型といえば、昔も今も煎剤、つまり「煎じ薬」といえましょう。
煎じる作業は毎日で面倒かもしれません。また、生薬の組み合わせによっては大変飲みにくいものですが、昔から「良薬口に苦し」といいます。手間や苦味があっても、効果が高いことから、煎剤は、漢方本来の効果を望む人に喜んで服用されています。
また、生薬の品質にもかなり大きな差があり、当然、品質のよい生薬を用いた煎剤が、高い効果を発揮します。
なお、錠剤や顆粒剤は、生薬エキスを製剤化したものや、生薬の粉末を製剤化したものです。製造方法や、生薬の品質、メーカーなどによって、漢方薬の効果の出方は異なります。
もし、慢性病などで長く漢方薬を飲んでいて、あまり変化がないと感じているならば、別のメーカーの漢方薬を試してみるのもよいでしょう。