やっと暑さが和らぎ、過ごしやすい季節になってきました。
「食欲の秋」というように、これからはおいしいものが多い季節。胃の調子は崩さず季節の恵みを堪能したいものです。
胃は食道から送られてきた食べ物を胃液で分解し、十二指腸に送ります。
しかし、暴飲暴食で大量の食べ物が胃の中に送り込まれると消化活動がスムーズに進みません。そのため、胃の中に消化しきれない食べ物が長時間とどまってしまい胃もたれを引き起こします。
ついつい食べ過ぎてしまい、食後に胃がもたれてしまうような場合には、平胃散( へいいさん)、または加味(かみ)平胃散がよいかもしれません。食べ過ぎや飲み過ぎなどの消化不良による胃のもたれを改善してくれます。
平胃散は、陳皮(ちんぴ)、厚朴(こうぼく)、甘草(かんぞう)、蒼朮(そうじゅつ)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)から構成される漢方薬です。
平胃散に神麴(しんぎく)、山査子(さんざし)、麦芽(ばくが)など消化を助ける生薬を配合したものが加味平胃散です。どちらも、ほどほどに体力がある人で、食欲不振や腹部膨満感などの自覚症状や、食後に下痢を訴えるような人に適することが多い薬です。
食べ過ぎることがなくても普段から胃の働きが弱いと感じることがある人は、胃を元気にする漢方薬を服用するとよいでしょう。
漢方では、「脾胃(ひい、消化機能)は元気のもとであり、元気は健康の源である」と考えられてきました。脾胃を補い元気をつけることが病気を治す根本であるとされたのです。
四君子湯(しくんしとう)や六君子湯(りっくんしとう)は胃の働きを補い、虚弱な胃を元気にしていきます。両者とも、あまり体力がなく疲れやすい人の消化不良や胃もたれなどによく用いられる薬です。
そのほか、胃の痛みや胸やけなどの症状には、それぞれ効果的な漢方薬があります。漢方薬は専門家によく相談しながら、自分の症状に適したものを上手に利用しましょう。