Q 膝の関節の痛みで悩んでいます。膝を曲げたり、しゃがむと痛む状態が続き、最近3年ほどは正座ができません。漢方を試したいと思うのですが…。 (68歳・女性)
A 変形性膝関節症は膝関節の軟骨が擦り減ったり、変形したりして、痛む病気で、関節の内に水がたまって膝が腫れることもあります。
軽い間は、歩き始めや階段の上がり下りなど、関節を動かした時に違和感や痛みを感じるだけです。少し気をつけて関節に負担をかけないでいると治まります。しかし繰り返していくうちに次第に治りにくくなっていき、悪くなるにつれて、足が曲げにくくなり、正座をすることもできなくなります。
加齢によって長く使い続けた関節の軟骨が老化することが原因になることが多いので、高齢になると増える病気です。関節に大きな負担をかける肥満も大敵です。膝の関節にかかる負担は、歩いているときには体重の2、3倍、階段や坂道などでは5倍にもなるので、体重のコントロールは大切です。
この病気は女性に多く、男性の約2倍だといわれています。もともと女性は男性よりも筋肉の量が少ないので骨を支える力が弱く、さらに更年期によるホルモンの影響があるとされています。
活動的な人が、意識しないままに膝に過度な負担をかけ続けていることがあるのも要注意です。
さて、この変形性膝関節症は寿元堂薬局で相談の多い病気の一つであり、漢方の効果が出やすいものでもあります。
最近の例ですが、10年ほど前から変形性膝関節症を患っていて、この3年ほどはしゃがむことも正座することもできなかった70歳近い女性が、漢方薬をわずか2カ月足らず飲んだだけで、短時間ならしゃがんだり正座することができるようになったと喜んでくれました。
このような速効をいつも期待することはできませんし、中にはこじらせすぎて漢方が効きにくくなってから相談に来られる人もあります。しかし、ご自身の状態に対する漢方の効果を試してみるとよいでしょう。
一般的に入手しやすい漢方薬を幾つか簡単に紹介しますが、詳しくは専門家にご相談ください。
- 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう) 体力があり、足がむくみ、熱感があり水がたまる関節炎に
- 桂芍知母湯(けいしゃくちもとう) 虚弱な人の慢性化した関節炎で、痩せた足の膝関節が腫れて鶴の膝のようになったものに用いる
- 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) 虚弱で冷えとのぼせがあり、小便が少ない人に
- 大防風湯(だいぼうふうとう) 桂芍知母湯が適する人よりもっと虚弱な人で膝関節が腫れて鶴の膝のようになったもの
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) いわゆる水太りの体質で、むくみがあったり、膝の関節に水がたまったりして痛むものに