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リビング 寿元堂薬局の漢方よもやま話

なじみ深い桔梗の多様な効能

だんだんと肌寒さを感じる秋の気候になってきました。

秋の七草の一つである桔梗(ききょう)の根は漢方薬の生薬(しょうやく)として用いられます。
はるか昔、万葉時代には桔梗をアサガオと呼び、山上憶良が秋の七草について歌を詠んでいます。

桔梗は鎮咳(ちんがい)・去痰(きょたん)などの作用を有するとされ、呼吸器の病気に用いられる漢方薬に含まれることが多い薬草です。

粘稠(ねんちゅう=粘り気があって濃い状態)で切れにくい痰が多く、激しい咳が続き、長引くと声がかれるような症状に適することが多い清肺湯(せいはいとう)、風邪や気管支炎などの後に痰が残り、寝付きが悪い時に用いられることがある竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)、胃腸があまり強くない人が風邪をひいた場合に適することが多い参蘇飲(じんそいん)など、多くの漢方薬に含まれます。

また、排膿作用もあるとされる桔梗は、化膿傾向がある湿疹やじんましんなどの皮膚症状に用いられることが多い十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)にも含まれます。

1つの生薬の中には多種類の成分が含まれており、さまざまな効能を有します。数種類の生薬から構成される漢方薬は、さらに複雑な作用や効能 があるのです。

漢方薬本来の効果を得るためには、体質や症状に適したものを選ぶことが大切です。
専門家に相談しながら上手に利用しましょう。