呼吸器の病気~ 漢方を試してみたい病気 ~
呼吸器の病気には、気管、気管支、肺、胸膜などの異常があります。
そして、風邪のようにありふれた病気から苦しい気管支炎や気管支喘息、症状を治めにくい気管支拡張症や肺気腫などがあり、症状も様々です。
抗生物質の普及によって減っていた呼吸器の病気は、再び増えています。その中には、西洋医学だけでは対応しにくい状態のものもあり、漢方の効果を喜んでいただけるケースが多く含まれています。
呼吸器の病気の中で、漢方がよく効くことが多い慢性病のいくつかを取り上げてみました。
早ければ1~2週間で、長くても2~3ヶ月も試せば、効果を判断することができるでしょう。
※漢方薬を紹介する場合は、一般的に入手しやすい範囲のものに限りました。
慢性気管支炎
急性気管支炎は感染や刺激性ガスの吸入などが原因でおこりますが、かぜから移行することが多いものです。
慢性気管支炎は、長年の喫煙や大気汚染などの影響で気管支を傷め、慢性の炎症を起こしている状態です。
中年以降の人に多く、気道の分泌液が多くなって痰になり、それを喀出するために咳が続きます。
多くは冬場に症状が悪化しますが、軽い呼吸困難がみられることもあります。
漢方で上手に症状を治めていけばよいでしょう。
気管支ぜん息
アレルギーが原因になることが多い病気です。
せまくなった気管支を空気が出入りするために、ヒューヒューとかゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)を伴います。
呼吸が苦しくなる発作をおこした時には、吸入療法など西洋医学がよく効きます。
また、かぜをひくと必ずといっていいくらい喘息を悪くします。
かぜをひかないように予防することも大切ですが、かぜをひいたら、できるだけ早く治しましょう。
漢方薬を続けていくと、徐々に発作の回数が減り、発作の強さも次第に軽くなっていきます。
気管支拡張症
気管支は枝分かれしてだんだん細くなっていきます。
この気管支の一部がさまざまな原因で広くなった状態を気管支拡張症といいます。
幼少時にかかった麻疹や百日咳などの肺炎が影響しているものが多いのですが、原因がはっきりしないものもあります。
痰を伴う慢性的な咳の症状が続く比較的多く見られる病気です。
気管支の中に痰をためないことが基本で、痰をできるだけ切って気管支の中をきれいにしておくことが必要です。粘り気の強い痰は、水分を多くとると出しやすくなります。
気管支を広げるためには、温かい飲み物をとるのもよいでしょう。
漢方薬は痰を上手に排出して気管支をきれいにする作用があり、この病気に効果的です。
肺気腫
肺には、肺胞という小さな風船のような袋があり、空気の出し入れをしています。
この肺胞の細胞が壊れて弾力性がなくなって膨れ、隣り合った肺胞がどんどん合わさっていき、肺の中に空気がたまったものが肺気腫です。
咳、痰、息切れなどの症状があり、ひどくなると身の回りのことをするのも苦しくなります。
喫煙や大気汚染などの影響で、少しずつ病気が進み、中年以降になって発症すると考えられています。
漢方薬で呼吸器を清浄に保つと、呼吸が楽になり、病気の進行が抑えられます。
煙草は絶対にやめることが大切です。
肺線維症
柔らかい肺に線維化が起こり、肺が固くなって、伸びにくくなる病気です。
そのため、階段をのぼる時などに息切れを感じ、痰や咳も出ます。
進行すると、少し身体を動かしただけでも呼吸が苦しい状態になってしまいます。
大量のほこりにさらされる職業の人の病気である塵肺や薬剤性肺炎、アレルギー性肺炎、肺結核、膠原病などでおこることがわかっていますが、原因がわからないものが少なくありません。
日ごろからほこりを吸う環境を避け、喫煙をやめることが大切です。
西洋医学では難病に指定されている治りにくい病気ですが、漢方が有効なことが少なくありません。
呼吸器の病気によく使われる漢方薬
呼吸器の病気に使用する漢方薬の一部を紹介します。
体質と症状に合わせて使用すれば効果的です。
詳しいことは寿元堂薬局または漢方の専門家によく相談してください。
小青竜湯しょうせいりゅうとう | 咳をともない、泡のような痰が出る気管支炎、気管支喘息などに用います。 |
麻杏甘石湯まきょうかんせきとう | 乳幼児の喘息に使うことがあります。 また、喘息の発作時に用いることが多い処方です。 |
柴朴湯さいぼくとう | のどがつまる感じがあり、喘鳴や痰がある症状に用います。 |
清肺湯せいはいとう | 慢性の呼吸器疾患で、切れにくい痰が多く、咳が長引くものに用います。 |
麦門冬湯ばくもんどうとう | 痰は少なくて排出しにくく、発作的な激しい咳が続き、のどに乾燥感があるものに用います。 |
神秘湯しんぴとう | 体力がある人で、痰は少なく、咳や喘鳴が強い気管支喘息などに用います。 |
麻黄附子細辛湯まおうぶしさいしんとう | 寒がりの老人や虚弱な人の気管支炎や気管支喘息などに用いる機会があります。 |