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漢方と中国医学の違い~ 漢方あれこれ ~

漢方は昔の中国医学をベースにして、日本化した医学です。
いわば、本家の中国医学を日本流に改革して、別に一家をなしたようなものです。

中国医学自体は漢方とは少し異なる形ではありますが、継承され続けていました。

ところが、1966年から10年間ほど続いた文化大革命という中国社会の大きな変革の中で、他の文化と同様に、伝統的な中国医学は軽んじられ、新たな医学が生まれました。
その医学を中医学といい、現在の中国医学といえば中医学のことです。

さて、漢方も中医学も同じように複数の生薬を組み合わせた薬を使うので、知らない人が見たら区別がつきにくいものです。

まして、日本では「中国は漢方の本場」などと思い込んでいる人がほとんどです。

しかし、漢方と中医学には大きな違いがあるのです。

もっとも大きな違いは処方の作り方と使い方にあります。

漢方は、歴史の中で効果と安全性が実証されてきた伝統ある既成の処方の使い方・効かせ方に熟練し、それらを個人の状態に合わせて使います。

中医学にも既成の処方はあります。
しかし、基本的には、それぞれの病人に対して新たな薬を創ることで対応します。
つまり、一つ一つの生薬の効果に注目して、個人の状態に合わせて、必要な生薬を選んで組み合わせるのです。

わかりやすく料理に喩えれば、味に定評のある完成度の高い料理の中から、食べたいものを選ぶのを漢方とすれば、食材の特性を活かして新たな創作料理を工夫し、おいしさを求めるのが中医学といえるでしょう。

ですから、漢方と中医学は和食と中国料理ほどの違いがあるといってもよいでしょう。

漢方と中医学にはそれぞれの特徴があるので、区別して上手に利用すればよいと思います。
しかし、現在の日本や中国に、双方の違いさえ知らない人が多いのは困ったことです。