ホーム掲載記事リビング寿元堂薬局の漢方よもやま話

 今回は、あまり語られることのない、漢方薬の剤型についてお話ししましょう。剤型にはいろいろな種類があります。

  • 煎剤
    煎じて飲むもの。本来、ほとんどの漢方薬は煎剤で用いられてきました。葛根湯など。
  • 散剤
    粉薬のこと。粉末にして飲みます。安中散など。
  • 丸剤
    粉末を練って蜂蜜などで固めて玉状にした丸薬。ゆっくりと穏やかに効きます。八味丸など。
  • 酒剤
    酒に漬けて飲むもの。杜仲(とちゅう)酒、お正月に飲む屠蘇(とそ)酒などが有名です。
  • 膏(こう)薬
    皮膚に塗ったり貼ったりするもの。紫雲膏(しうんこう)など。
  • 浴剤
    薬湯にして入浴するもの。
  • 顆粒剤
    煎じ薬のエキスを固めて簡単に飲める粒状にしたもの。
  • 錠剤
    手軽な漢方薬の製剤。多くのメーカーの製品があり、一般によく利用されています。

この中で、現在、最もよく使われているのが、顆粒剤と錠剤です。漢方薬のエキスを抽出したり、または粉末を製剤にしたりしています。ともに50年ほど前に作られた新しい剤型。西洋薬に近い感覚で手軽に飲め、においもほとんどなく、保存や携帯にも便利というメリットがあります。

漢方薬本来の効果を最大限に引き出したいなら、良質の生薬を原料にした煎剤が一番です。

剤型の特徴を押さえ、それぞれの状態に応じて剤型を使い分けてはいかがでしょうか。