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さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話

実は優れもののミカンの皮

そろそろミカンがおいしい季節。

少し前まで「こたつにミカン」という風景は、家族団らんの冬の風物詩でもありました。

そんな身近な果物ですが、ミカンの皮は漢方でもよく使う材料の一つ。

成熟した温州(うんしゅう)ミカンの皮を乾燥させたものは「陳皮(ちんぴ)」という生薬(しょうやく)で、漢方薬の原料として使われます。

新しいものを橘皮(きっぴ)、古いものを陳皮とし、陳皮は古いものほど良品とされています。

陳皮というと馴染みがないかもしれませんが、実は七味唐辛子にも含まれており、私たちの身近な食材の一つです。

陳皮には、胃の調子を整える作用や気の巡りをよくする作用などがあるとされており、多くの漢方薬に含まれます。

代表的な漢方薬は、食欲不振や吐き気などの症状がある人によく用いられる六君子湯(りっくんしとう)でしょう。

また、興味深いことに、未成熟な温州ミカンの皮を乾燥させたものは「青皮(せいひ)」という全く別の生薬として扱われます。

青皮は陳皮よりも気の巡りをよくする作用が強いと考えられ、柴胡踈肝湯(さいこそかんとう)という漢方薬に含まれています。

ストレスなどで気の巡りが悪くな り、イライラしたり胸や脇腹が張り痛みを感じたりする人によく用いられます。

同じ原料でも収穫の時期によって効能が異なると考え、使い分けてきた先人達には、尊敬の念が深まるばかりです。