6月〜9月にかけて、水面上に葉の間から長い花茎を伸ばすスイレン科のコウホネという植物があります。
コウホネは花茎の先に、直径5㎝ばかりのかわいらしい黄色い花を咲かせます。泥の中には節がある長い根茎があり、漢方薬の原料として用いられています。
生薬(しょうやく)名は川骨(せんこつ)と呼ばれ、根茎が動物の骨の形に見えることが名前の由来だそうです。
川骨を含む漢方薬に、治打撲一方(ちだぼくいっぽう)があります。
これは、江戸時代に香川修庵によって作られた処方。打撲を治すという名前の通り、打撲など外傷の痛みや腫れなどに用いられます。
明治時代の有名な解説書「勿誤薬室方函口訣(ふつごやくしつほうかんくけつ)」にも、「この薬は打撲、筋骨の疼(とう)痛を治す」と記載されています。
外傷に漢方薬が役立つことを知る人はまれですが、父は肋骨( ろっこつ)のひびの痛みで、私はぎっくり腰や捻挫で何度も漢方薬の効果を実感しています。
症状をこじらせてしまう前に対処できればよいのですが、外傷による不都合な症状が長引くようであれば漢方薬を試してみてもよいでしょう。