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外傷~ 漢方を試してみたい病気 ~

通常、打撲や骨折などの外傷(ケガ)に漢方が効くと思う人はそういないでしょう。

実際、外傷で漢方の相談にやって来られる方は多くありません。

ところが、骨折に限らず、打撲、ねんざ、むち打ち症などの外傷にも、漢方は実によく効きます。

※漢方薬を紹介する場合は、一般的に入手しやすい範囲のものに限りました。

例えば、こんなことも…

以前こんなことがありました。
知人の息子さんが普通乗用車を運転していて、一旦停止したときに、大型トラックにはげしく追突され、打撲とむち打ちで半年以上も痛みに悩まされていました。

彼は大阪の人で、すでに漢方薬を飲んでいるというので、私は静観していました。
ところが、あまりにも症状が長引いているようなので尋ねてみると、それまでに飲んだ漢方薬では症状があまり改善しないということでした。

それで私に漢方の相談がありました。
私が考えた漢方薬を飲み始めると、しばらくして痛みが和らいで「ずいぶん体が楽になった」と喜んでおり、それから数ヶ月で治ってしまいました。

外傷と漢方

外傷は手術や西洋医学の薬物治療が必要な場合もあるので、必ず整形外科を受診することが大切です。状態を調べてもらった上で漢方薬を飲めば安心ですし、何よりも、痛みが和らぎ、治りが早くなるケースがほとんどです。

もっとも、むち打ち症では医師には異常がないと言われることもしばしばありますが、痛み、めまい、頭痛など、さまざまな症状で悩んでいる人は少なくありません。

骨折や打撲の場合でも「骨がつきにくい」「なかなか腫れが引かない」といった人が、漢方薬を飲んで治りが早くなった例は多くあります。

湿布で治ってしまう程度なら漢方の力を借りる必要はありませんが、長い期間にわたって不快な症状で悩んでいるときなどは、少しでも早く漢方薬を飲むとよいでしょう。

外傷によく使われる漢方薬

外傷は、局所に血の滞りを生じることでさまざまな症状をおこすのです。
それを瘀血(おけつ)といい、瘀血をなくせば症状がなくなります。

桃核承気湯とうかくしょうきとう局所の瘀血(おけつ)を取り除く作用の生薬である桃仁(とうにん)を中心に、緩和作用のある甘草(かんぞう) のほか、大黄(だいおう)や芒硝(ぼうしょう)などを組み合わせた薬です。
体力のある実証の人で、下腹部が張り便秘がちの人に向く処方です。
桂枝茯苓丸けいしぶくりょうがん桃核承気湯と同じく、駆瘀血剤としてよく使われる薬です。
血行を良くする桃仁や牡丹皮(ぼたんぴ)、痛みを緩和する芍薬(しゃくやく)、気持ちを静める茯苓(ぶくりょう)などが配合されています。
治打撲一方ぢだぼくいっぽう江戸時代の医師、香川修庵(かがわしゅうあん)が考案した薬です。
患部の熱を発散させる桂皮(けいひ)や丁子(ちょうじ)などが配合され、その名の通り、打撲やねんざによく用いられます。
昼よりも夜に痛みを強く感じる神経痛は、瘀血(おけつ)が原因になることが多く、この薬がよく使われます。