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さりお 寿元堂薬局のここが知りたい漢方

不眠症に効果のある漢方

漢方薬は、西洋薬ほどの即効性は期待できないが、一時的な効果ではなく乱れた睡眠を改善していく


梅雨にむけて蒸し暑さが増してくるこの時季は、寝苦しくて夜中に起きてしまう人や、なかなか寝つけず悩んでいる人が少なくありません。

厚生労働省によると、不眠症とは「入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1カ月以上続き、日中に倦怠(けんたい)感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気」と定義されています。

日本人を対象にした調査によれば、5人に1人が睡眠に関するなんらかの症状で悩んでいるとのこと。

また、健康であっても加齢とともに、夜中に目が覚める中途覚醒、睡眠時間が短くなる早期覚醒は増加します。

60歳以上になると、約3人に1人が睡眠のことで悩んでいるようです。 

漢方では、現在で不眠症と定義されるような症状を、不寐(ふび)ともいいます。
不寐に対する漢方薬はさまざまな薬がありますが、今日はその中の2種類の漢方薬をご紹介しましょう。

酸棗仁湯(さんそうにんとう)という漢方薬があります。
長い歴史の中で、酸棗仁湯という名前の漢方薬はいくつか作られました。その中でも現在よく使われる酸棗仁湯は、中国・後漢時代の医学書「金匱要略(きんきようりゃく)」という書に載っているものです。

「疲れ過ぎて眠れない」「急に胸騒ぎがして眠れない」などの症状に用いられます。
人によっては、西洋医学の睡眠剤と同じようにすぐに眠れることもある薬です。

また、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という漢方薬は、体力があり、便秘傾向で、胸や腹のあたりで動悸(どうき)を打つような人の不眠症に用いられます。

通常は、漢方薬には西洋薬に匹敵するような即効性を期待できることは多くありませんが、一時的な効果でなく乱れた睡眠を改善して自然に眠れるようにしていきます。

ただし、必要な睡眠時間は人によって異なります。
マスメディアで報道された睡眠時間を気にし過ぎてしまう人がいますが、3時間ほどの睡眠で十分な人もいれば、10時間ほど眠らないと疲れがとれない人もいるのです。

睡眠時間の長さだけに着目するのではなく、熟睡感や日常生活への支障の有無など、総合的に効果の判断をしなければなりません。

漢方薬を上手に利用していけば、最終的には、西洋薬、漢方薬のどちらも飲まないで眠れるようになる可能性があるでしょう。
快適な睡眠が得られていない人は、一度漢方薬を試してみてもよいかもしれません。