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リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

胃によい漢方薬がありますか

Q 食後によく胃がもたれることがあり、食欲もありません。漢方薬を試したいと思いますが、胃もたれがなくなって、食欲が出るような漢方薬があるでしょうか。 (40歳、女性)


平素から胃を元気にする漢方薬を持薬に

A 食欲の秋にはおいしいものをたくさん食べたいですね。

漢方のふるさとである中国の金の時代の李東垣(り・とうえん/1180~1251年)は、消化器の働きを補って元気をつけることが病気を治す根本であるとの説を唱えました。

この流派は多くの薬を創りましたが、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などは、今もよく利用されます。

半夏白朮天麻湯は、黄柏(おうばく)、乾姜(かんきょう)、天麻、蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、黄耆(おうぎ)、沢瀉(たくしゃ)、人参(にんじん)、白朮、神麹(しんぎく)半夏、麦芽(ばくが)、陳皮(ちんぴ)、生姜(しょうきょう)という多くの種類の生薬(しょうやく)が配合された薬で、胃腸が弱く、めまいや立ちくらみ、頭痛などがある人に多く使われます。

補中益気湯は、黄耆、甘草(かんぞう)、人参、升麻(しょうま)、柴胡(さいこ)、陳皮、当帰(とうき)、白朮、生姜、大棗(たいそう)の組み合わせで、虚弱で元気がなく、疲れやすい人を元気にする働きがあります。

さて、胃の不調を整える漢方薬には、さまざまなものがあります。

ご質問の方のように、食後によく胃がもたれる症状には、平胃散(へいいさん)または加味(かみ)平胃散がよいかもしれません。食べ過ぎや飲み過ぎなどの消化不良による胃のもたれを改善します。

平胃散は、陳皮、厚朴(こうぼく)、甘草、蒼朮、生姜、大棗を混ぜて散剤にしたものです。今では散剤はそのまま飲むと思っている人が多いのですが、平胃散は散剤を水で煎じて飲むのが正式です。

平胃散に神麴(しんぎく)、山査子(さんざし)、麦芽(ばくが)など消化を助ける生薬を配合したものが加味平胃散です。どちらも食後の胃もたれに使われる機会が多い薬です。

もし過食が思い当たらなくても、胃弱の人には通常の食事の量でも胃の負担になることがあるので注意が必要です。

平素から胃の働きが弱い人には、胃を元気にする漢方薬を持薬にするとよいでしょう。

四君子湯(しくんしとう)や六君子湯(りっくんしとう)は胃の働きを補い、虚弱な胃を元気にしていきます。

そのほか、胃の痛みや痞(つか)え、胸やけなど、さまざまな症状に効果的な漢方薬があります。専門家によく相談して、ご自身に適した漢方薬を選んでください。