リビング 寿元堂薬局の漢方よもやま話
枸杞の実はスーパーフード!
近年スーパーフードとして注目される食品が幾つかありますが、その一つ「ゴジベリー」は、枸杞(くこ)の実のことです。
杏仁豆腐にトッピングされている〝赤い実〟と言った方が分かりやすいかもしれません。
枸杞の実は、生薬(しょうやく)の名を「枸杞子(くこし)」といい、主に強壮作用を目的として利用されます。
中国最古の薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」では、「命を養う」薬とされる上品(じょうほん)に分類され、「久しく服用すると、筋骨をしっかりさせ、身を軽くし老いない」とあり、古くからその効果が認識されていたことが伺えます。
さらに枸杞は、葉を枸杞葉、根の皮を地骨皮という生薬として利用されます。
「楊貴妃(719~756年)は美容のために枸杞を食べていた」「文徳天皇(827~858年)は枸杞を栽培する庭園を所有しており、この庭園の管理人が枸杞をいつも食べていたため120歳まで生きた」などの逸話が残っています。
また、夏目漱石が正岡子規へ送った句「枸杞の垣田楽焼くは此奥か」、与謝蕪村が詠んだ句「枸杞垣の似たるに迷う都人」にも登場しています。
現在でも眼精疲労などに良いとされる杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)に配合されたり、料理での利用や枸杞酒として親しまれています。
約2000年以上前から重宝されている生薬が、現代でも改めて注目されることは面白いものです。