紅葉が見頃を迎え、すっかり冬支度をする季節になりました。
中には風邪をひいて、のどに痛みや違和感を感じる人も多いでしょう。
しかし、病気がなくても、ストレスなどの精神的負担によって、のどに違和感を感じる人もいます。
漢方では、そのような状態のことを「梅核気(ばいかくき)」といいます。
実際には何も引っ掛かっていないのに、まるで梅の種がのどにつかえているような状態をいい、あぶった肉がのどに張り付いているようだ、という意味から古典では「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」と表現されることも。
また、西洋医学の言葉では「ヒステリー球」「咽喉頭異常感症」などと呼ばれます。
梅核気の症状に昔からよく使われてきたのが、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。
「金匱要略(きんきようりゃく)」という古い医学書に載る薬で「婦人が咽(のど)の中に炙(あぶ)った肉が引っかかったように感じる場合は半夏厚朴湯が良い」と記されています。
半夏厚朴湯は、主薬の半夏(はんげ)と厚朴(こうぼく)を中心に、茯苓(ぶくりょう)、蘇葉(そよう)、生姜(しょうきょう)で構成しています。
半夏、茯苓は心中、胃内の停水を去り、厚朴、紫蘇は気の滞りを改善すると考えられています。
梅核気には半夏厚朴湯以外にも、体質や症状に応じていろいろな処方が使われます。
専門家によく相談して上手に漢方薬を利用しましょう。