関節リウマチに漢方薬が効くのですか
Q 高齢の母が長年関節リウマチを患っています。病気のせいで腎臓も悪くなりました。リウマチには漢方がよいと聞きましたが、何かよい漢方薬がありますか。 (58歳・女性)
A 関節リウマチは、免疫の異常によって関節に腫れや痛みを生じ、やがて変形して、曲げ伸ばしに支障をきたす病気です。30 ~50歳代の女性がなりやすく、治りにくい病気ですが、漢方がよく奏効するケースが多い病気でもあります。
この病気で漢方の相談に来られる方は、西洋医学の効果に満足できないか、西洋医学の効果いかんに関わらず、漢方を併用してよりよい効果を求めたい人たちです。
いずれにせよ、西洋医学に加えて、漢方を併用することから始めるとよいでしょう。
さて漢方では、関節リウマチのように、関節が腫れて痛む症状が体中のあちこちの関節をめぐる(経歴する)ことを「歴節」と呼びます。まるで虎が咬(か)むように関節が強く痛む症状から「白虎風」とか「白虎歴節風」などともいわれます。
漢方が医療の中心だった江戸時代の書『内科秘録』には、「この病気は治し難いもの」としながらも「最初によく治療すれば、毒(この病気を起こす原因)がことごとく(体の中から)去って再発しない」と書かれています。
現代でも、初期のリウマチが漢方で治ることは現実にしばしばあることですし、進行した状態でも漢方の効果が表れないことはまれです。
つい先日も、関節リウマチで足の関節までも患っていた40歳代の女性から「全力疾走できるようになった」と喜びの言葉を頂いたばかりです。ちなみに、この方は漢方薬しか飲んでいません。
お母さんも、一度漢方を試すとよいと思いますが、腎臓病を合併している場合は少しやっかいです。漢方の専門家とよく相談しながら対応されるとよいでしょう。
一般的に使われることがある漢方薬には次のようなものがあります。
- 桂枝加苓朮湯(けいしかりょうじゅつとう) 冷え症で手足の関節が腫れて痛み、屈伸しにくい人に適します。
- 五積散(ごしゃくさん) 胃腸が弱くて顔色が悪く、下半身が冷える人に使われます。慢性化した症状で痛みもあまり激しくないものです。
- 疎経活血湯(そけいかっけつとう) 夜に痛みが強くなる人、体の左側の症状が強い人に用いることが多い薬です。
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) 太り気味で汗をかきやすい人に用いることが多い薬です。膝関節の症状をよく改善します。
- 薏苡仁湯(よくいにんとう) 亜急性期や慢性期の痛みによく用いられます。症状はあまり激しくないがすっきりしないような関節リウマチによく使われる漢方薬です。