Q 夫が「疲れた」を連発します。薬局で尋ねると、牛黄(ごおう)という薬を勧められました。どのような症状のときに飲んだら効果があるのですか。 (58歳・女性)
優れた効果を発揮する応用範囲の広い薬
A 牛黄とは、牛の胆のうの中に生じた結石、つまり胆石を乾燥させたもの。径1~4㎝程度の球形または不定形で、破砕面には赤褐色から黄褐色の層紋がありますが、通常は粉末にして飲みます。
牛3000~4000頭に1頭にしかできないというほど希少なもので、昔から金より高いといわれた、高価な薬です。よく知られる効果を挙げてみます。
①心臓の働きを高める強心作用=心臓病、心不全、狭心症、不整脈、動悸(き)、息切れに
②肝臓の働きを助ける肝機能増強作用=肝機能障害、肝炎 肝硬変に
③血流を改善し、血液を作る造血作用=貧血、血色不良に
④虚弱な人を元気にする滋養強壮作用=疲れに
そのほか抗炎症作用、解熱作用、鎮静作用など、さまざまな効力を持つ優れもの。ここでは詳しく書けませんが、牛黄を飲んで危篤状態を乗り切った例や寿命を伸ばした例など、数々の逸話があります。
疲れに対して優れた効果を短期間で実感できるのも、この薬の特徴。
事業家や政治家など、パワフルで精力的に活動する人に愛用されることもありますが、普通の生活をしている人が、頑張りたいときのカンフル剤として飲むこともよくあります。「一日寝れば元気になるだろうが、どうしても今日は休めない」。そんなとき肉体的な疲れに即効性がある牛黄は重宝します。
このように、深刻な病気から軽い疲れまで、非常に応用範囲の広い薬です。
また、治りにくい病気を治療するときのサポート役をしたり、病気で体力が衰えたときの回復力なども目を見張る効果得られることもあり、日常的に利用している人も少なくありません。
寿元堂の場合、〝牛黄というブランドに引かれて飲む〟人より、〝実際に飲んでよく効くから牛黄を飲む〟リピーターが多いといえます。
最近、牛黄の価格が急激に高騰しました。南米の牧場が、バイオエタノール原料を作るためにとうもろこし畑に転換して牧場をやめているので、牛の数が減り、品薄になっていることなどが影響しています。
牛黄は、製剤より牛黄そのものを粉末にして飲んだ方が効果を発揮します。
また、漢方薬はどれも生薬の品質が重要ですが、特に牛黄は、品質の良し悪しが効果を決定づけます。
希少なものだけに、品質にはばらつきがあり、質の低いものや偽物も出回っています。良品かどうかは専門家でなければ分かりません。
輸入もので、牛黄が全く含まれていない偽物が出回った事件もありました。信頼できる薬局を通して求める方がよいでしょう。