Q 生理痛がひどく、薬局で数種類の漢方薬とサプリメントの併用を薦められましたが、サプリメントを飲まなければ漢方薬の効果が少なくなるのでしょうか。また、何種類も漢方薬を飲む必要がありますか。 (33歳・女性)
A 「サプリメントを飲まなければ漢方薬は効かない」と言われて、高額なサプリメントを飲んでいるいう話をときどき耳にします。相談者もその一人でしょう。
私は、ごく少数の例外を除いて、サプリメントや健康食品は、基本的には漢方薬と併用する必要はないと考えています。生理痛を含めて、漢方が適する病気や症状のほとんどは、漢方薬だけで十分に対応できるからです。
ちまたでビタミン剤がもてはやされた20年以上前、「もっとも素晴らしいビタミン剤は八百屋さんにある」と食養生の専門家は言っていました。治療薬としての効果的なビタミン剤は別として、一般的には、ムードで飲んでいる人があまりにも多かったのです。
また例えば、〝肝臓にはウコン〟などと言われますが、肝臓機能障害の改善に使う漢方薬に、ウコンが含まれていることはごくまれです。
最近は健康志向の高まりによって、コマーシャルをうのみにし、ブームに乗せられている人が多過ぎるのではないでしょうか。
もちろん、サプリメントの中にも良いものがあるはずですし、結果が出ればそれでよいので、経過を観察し、結果を検証することです。しかし、漢方薬と関連づける必要はありません。
次に、漢方薬を複数飲む必要があるかどうかについて説明します。
寿元堂薬局のデータ(平成17年)では、実に85%以上の方が、1種類の漢方薬だけを持ち帰っています。このことから、ほとんどの相談に対して、1種類の漢方薬で対応できていることが分かります。なお、2種類以上を持ち帰った方の理由は、多い順に次のいずれかです。
①複数の病気があり、複数の漢方薬で対応せざるを得なかった。
②複数の漢方薬を組み合わせて別の効果が期待できる漢方薬にした。
③相談者が、常備用の風邪薬などの漢方薬を希望した。
④効果を高めるために、やむを得ず、複数の漢方薬を使った。
⑤民間療法として2種類以上の薬草を用いた。
⑥相談者が薬草や健康食品を希望した。
これらの理由がなくても、一度にたくさんの種類の漢方薬や健康食品などを飲んでいる人がいますが、体質と症状に適した漢方薬を服用すれば、十分な効果が得られます。
よく効くようにとたくさんの種類を飲んでも無駄になることが多いでしょう。あれこれ飲むよりは、適切で効果的な漢方薬1種類を選んだ方が効率が良いのです。