さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話
原因不明な胃の症状にも対応
湿気が多く気温が高くなると胃腸の調子を悪くする人が増えてきます。昔から今の時季は胃腸のご相談が多いものです。
最近ご相談に来られた人は、疲れやすく、冷たいものを摂取したり冷房にあたったりするとおなかが冷え、食欲がなくなり、長年下痢を繰り返して悩まれていました。
冷え症で虚弱な人でしたが、漢方薬を続けて飲んで症状が改善され、それからは少々冷えても下痢をしなくなったと喜んでおられました。
胃の不調によく用いられる漢方薬の一つに六君子湯(りっくんしとう)という薬があります。
六君子湯は江戸時代の医学書である「古今方彙(ここんほうい)」の内傷(ないしょう)、補益(ほえき)の項目にも記載されています。
内傷は食べ過ぎや飲み過ぎなどによる不調、補益は補うことが必要な虚弱な状態のこと。
補益の項目には「脾(ひ)胃が虚弱で、食欲がなく、あるいは長期にわたり下痢があるものを治す」と述べられており、胃だけではなく腸の症状にも用いられます。
近年、慢性的にみぞおちの痛みや胃もたれなどの症状があるのに検査では異常がない場合に「機能性ディスペプシア」と診断されることがあります。
漢方は体質や症状で適する薬を選ぶため、そのような原因不明の病気にも広く対応することが可能です。
機能性ディスペプシアや逆流性食道炎などにも根気よく漢方薬を続けることで、次第に調子を崩しにくくなるでしょう。