古典には23種類もの頭痛薬を紹介しているものも。古来、漢方ではさまざまな頭痛に対応してきました
頭痛には、実に多様な症状があります。
痛みを感じる時間帯も、朝だけ痛む、夕方だけ痛む、悪天候の時に痛むなどさまざまです。
慢性頭痛は、ストレスや凝りで首や肩などの筋肉が緊張して起こる緊張型頭痛、頭の片側または両側がズキズキと脈打つように痛む片頭痛、まとまった期間に激しい痛みが続く群発頭痛の3つに分類されます。
また、別の病気が慢性的な頭痛につながることもあります。
高血圧による頭痛、副鼻腔炎や緑内障、眼精疲労による頭痛、三叉(さんさ)神経痛や後部神経痛による頭痛など、原因がはっきりと分かる頭痛もあります。
最近は、パソコンやスマートフォンの使いすぎからくるものや、思春期の年齢に多い起立性調節障害で頭痛に悩む学生さんも増えてきています。
江戸時代のベストセラーになった医学書に「古今方彙(ここんほうい)」という処方集があります。そこには頭痛の項目に、23種類もの薬が挙げられています。
肥満の人の頭痛、左側が痛むもの、右側が痛むもの、目の奥が痛むもの、肩凝りからくる頭痛など、体質や症状で薬を使い分けていたようです。
頭痛に用いられる漢方薬で、手軽に手に入れることができるものをいくつかご紹介しましょう。
有名な葛根湯(かっこんとう)は、首の後ろから背中にかけて凝りの症状がある場合の頭痛に用います。ただし、胃が弱い人だと、胃の負担になることがあるため注意が必要です。
五苓散(ごれいさん)は、のどが乾いてよく水を飲み、その割りに尿の出方が少なく、汗をかきやすいような人に適することが多い薬です。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、胃腸の調子が悪く、手足が冷えやすい人によく用いられます。片頭痛の発作にも使われます。
月経前後の頭痛には、月経を整えるような漢方薬がよいこともあります。桃核承気湯(とうかくしょうきとう)は、体力があり、のぼせやすく便秘気味の人に用い、女性の場合は月経障害がある場合に用います。桃核承気湯が強過ぎるような虚弱な女性の場合は、加味逍遙散(かみしょうようさん)が適することがあります。
このように、一言で「頭痛」といっても、実にさまざまなものがあり、それぞれの症状に対して適する薬が異なります。
長い間、痛み止めでやり過ごしていても、根本的な解決にはなりません。
なかなか改善しない頭痛に、漢方薬を一度試してみてもよいかもしれません。