Q 子供のころからお通じが悪く、今では1週間ずっと便意を催さないこともあり、困っています。あまりひどいときはその場しのぎで下剤を飲むのですが、繰り返すうちにその効果も薄れてきました。漢方で体質改善できますか。 (34歳・女性)
A 日本人の5人に1人が便秘といわれ、特に女性に多いのが特徴です。悩んでいる人が多いだけに、さまざまな解消法が編み出されていますね。
便秘には、さまざまな原因があります。
まず一つに、最近の若い女性で体力がない人、多産の人、老化で衰えた人…これらの人は、腹筋が衰えているため、力が入りにくく、便がスッキリ出ないというケースがあります。
次に、人目を気にして便意があっても排便を我慢しているうちに便から水分が吸収されて硬くなり、排便しにくくなるというケースです。習慣化してひどくなると、痔(ぢ)で悩んだり、体臭が気になったり、大腸がんの恐れもあります。
そして、神経質な人がストレスをためたり、睡眠不足、疲労などが重なり、腸が痙攣(けいれん)しているケースでも便秘になります。
いずれにしても、一時しのぎで西洋医学の下剤を飲めば効果はありますが、慣れるうちにだんだんと効き目が減ってしまいます。
これに対し、漢方では、その人の状態によって「実」と「虚」に分けます。
「実」とは、充実していること。「虚」とは不足していることです。つまり、「実」が過剰になって体力や気力があり余り過ぎても体調を崩し、また、「虚」がひどくなると体力が不足して病気になるという、漢方独特の考えです。
では、それぞれの便秘について、漢方の視点から考えてみましょう。
- 実の便秘 体格の良い人がなりやすく、少々の便秘は苦にならず、下剤を使ってもすっきりと排便できることが多いタイプです。このタイプに使う漢方薬は、下剤と体質改善の役目が合わさったようなものが良いでしょう。長期で見れば、次第に便秘が軽減されていくでしょう。
- 虚の便秘 やせ型で冷え性、少しでも便秘になるとおなかが張ったり気分が悪くなるというタイプです。下剤を飲んでも、すっきり出ないことも多いでしょう。虚の便秘に対する西洋薬は「整腸剤」のようなその場しのぎのものしかなく、根本的に便秘を改善できるものではありません。
ところが漢方薬を飲むと比較的短期間でおなかの調子が良くなり、続けて飲むと、次第に下剤に頼らなくても快便になることがよくあります。
実の便秘に使う漢方、虚の便秘に使う薬は、体質や症状に応じてさまざまな処方があります。専門家によく相談をした上で服用してください。