Q コンピューターを使う仕事をしています。長時間同じ姿勢でいるためか、年々肩こりがひどくなり、困っています。スポーツジムに通って体を動かしたいと思いながら、なかなか時間がとれません。肩こりに効く漢方があると聞いたのですが。 (37歳・女性)
A 根を詰めて勉強や仕事をしたり、悪い姿勢を続けると肩・首・背中が凝るものです。また、目や精神の疲れ、歯の痛み、かみ合わせが悪いなどの理由でも凝ります。
また、年齢とともに、肩や首の筋肉、じん帯の柔軟性は弱くなり、頭を支えるのが負担になり、肩凝りがひどくなります。特に、なで肩の人、首が細い人、太りすぎの人、やせすぎの人に見られます。
この肩凝りとは、筋肉が硬くなり、血の巡りが悪くなって、乳酸などの疲労物質がたまった状態です。
解消法として手っ取り早いのはやはり運動で、軽い体操でも続けることで効果が期待できます。
西洋医学では、薬物療法として、筋弛緩作用のある精神安定剤、筋弛緩剤、抗うつ剤、ビタミン剤などがよく使われています。しかしこれらは、けだるい気分になることがあります。
一方、漢方では、肩凝りは筋肉の凝りそのものだけでなく、内臓機能に異常があるときに「冷え」や「痛み」などの症状と共に出ると考えられています。
ですから、実際の処方でも患者一人ひとりの病態の的確な把握が重要になってきます。
それでは主な漢方を見てみましょう。
- 小柴胡湯(しょうさいことう)
比較的体力のある人に適します。食欲不振、口の乾き、おう吐、便秘、発熱を伴う肩凝りにもいいでしょう - 大柴胡湯(だいさいことう)
体格がよく、体力も充実している人で、便秘、口の乾き、ひどい肩凝りの場合に試すといいでしょう。頭痛、目まい、高血圧の人にもふさわしい処方です - 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
主に頭痛に伴って肩凝りが起こる場合。また、日ごろから胃腸が弱い人で、激しい頭痛、おう吐感があり、耳の後ろやこめかみに激しい痛みを伴う人にも効果的です - 葛根湯(かっこんとう)
用途の多い漢方処方ですが、肩凝りにも適しています。特に感冒からくる肩凝り、頭痛、下痢、体の痛み、悪寒などがある人に - 加味逍遥散(かみしょうようさん)
疲れやすい人で貧血の多い人に用います。特に中年以降の更年期の人にふさわしく、不定愁訴のみられる場合に適しています
肩凝りは、高血圧や低血圧、心臓病、胃潰瘍、胆石症などの病気と関連して生じる場合もあります。たかが肩凝りと思わず、解消して、晴れ晴れとした気分で毎日を過ごしてください。