小柴胡湯(しょうさいことう)~ 漢方薬のいろいろ ~
内容(単位/g) | 柴胡7.0 黄芩3.0 人参3.0 半夏5.0 甘草2.0 生姜1.0 大棗3.0 |
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適応 | 感冒 気管支炎 肺炎 肋膜炎 胃炎 胃潰瘍 肝炎 腎炎 腎盂炎 乳腺炎 中耳炎 扁桃炎 リンパ節炎 発熱伝染病 不明熱 産後の発熱 神経症 てんかん どもり 便秘 食欲不振 耳聾 |
出典 | 傷寒論(しょうかんろん) |
国・時代 | 中国・後漢 |
参考文献 | 黙堂柴田良治処方集 |
小柴胡湯は、最近の日本で最も生産量が多い漢方薬です。
もとは中国の後漢時代の書「傷寒論(しょうかんろん)」に載った古い処方で、漢方でいう少陽病(しょうようびょう)という病気の時期に使われます。
少陽病というのは、急性の熱病が少し進んだ状態で、熱は出たり下がったりして、食欲がなくなり、悪心や嘔吐があり、口が苦く、舌に白い苔がつくような症状があります。
また、気管支炎、肺炎、肺結核などの胸部の病気や、肝臓、胆のう、胃などの病気に使われることが多く、肝炎、胆のう炎、胆石症、膵炎などに応用されます。
日本では慢性肝炎の漢方薬として有名で、小柴胡湯の医療用漢方製剤(健康保険適応薬)の殆どが肝炎に使われています。
肝炎に効果的な漢方薬は他にもあるのに、なぜ小柴胡湯だけが使われるのでしょうか。
それは現代医学としての漢方薬の使い方で、体質・症状などを考慮しないで、慢性肝炎には小柴胡湯を使うと決めているからです。
これでは、たまたま合えばよいのですが、漢方的な使い方と較べると効率が悪く、過去に幾度も問題になった副作用の心配も避けられないと思います。
構成生薬
生薬名 | 基源 | 薬効 |
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柴胡(さいこ) | セリ科ミシマサイコの根 | 解熱 鎮痛 強壮 |
黄芩(おうごん) | シソ科コガネバナの根 | 消炎、解熱 |
人参(にんじん) | ウコギ科オタネニンジンの根 | 強壮、健胃、滋潤 |
半夏(はんげ) | サトイモ科カラスビシャクの根茎 | 鎮嘔、鎮吐、鎮咳、去痰 |
甘草(かんぞう) | マメ科ウラルカンゾウの根 | 鎮痛、緩和 |
生姜(しょうきょう) | ショウガ科ショウガの根茎 | 健胃、矯味、食欲増進 |
大棗(たいそう) | クロウメモドキ科ナツメの果実 | 緩和、強壮、利尿 |