元気がつく漢方薬を教えて
Q ここ2、3年、寝てもあまり疲れがとれず、休日は何もする気になりません。医者に行っても、どこも悪くないといわれました。漢方薬で元気をつけたいのですが。 (49歳・男性)
A ストレス社会の現代は、この質問者のような慢性疲労で悩む声が少なくありません。
検査をしてもどこも悪くないのに、本人は不調を訴えている…こんな原因不明のケースには、全身の調子を整える漢方薬が功を奏すことがよくあります。
今回は、昔から珍重されてきた4つの生薬を紹介しましょう。
漢方薬は、植物や動物、鉱物などの生薬を組み合わせて作る薬です。
動物由来の生薬の中でも、特に希少なのが「牛黄(ごおう)」。牛の胆石で、3000頭に1頭にしかできないほど珍しいものです。
肉体的な疲れに即効性があり、継続して飲めば、慢性疲労の回復、虚弱体質の改善に役立ちます。慢性肝炎、高血圧症、脳卒中による意識障害などにも用いられます。
同じく希少で高価な生薬に「熊胆(ゆうたん)」があります。
ツキノワグマやヒグマの胆汁を乾燥させたもので、以前はインド、ネパール、中国、ロシア、日本などで産していましたが、最近は輸入が制限され、中国で熊を養殖して採取しています。動物の乱獲を防止するワシントン条約で保護されているので、正当に許可された熊胆を利用するようにしたいものです。
健胃、鎮痛、消炎などの効果がありますが、単独で使用することは少なく、牛黄と使うことで大きな効果を得られます。
また、シベリアに生息するマンシュウアカジカの角を乾燥させた「鹿茸(ろくじょう)」は、中国では古くから強壮の漢方薬として大切にされてきました。今も、中国、韓国では、疲れがたまると鹿茸を煎じて飲む習慣があり、これを補薬(ほやく)といいます。
補薬を飲みやすい丸薬にしたものが、漢方薬の中でも有名な鹿茸大補丸です。
コラーゲン、タンパク質、カルシウムなどの成分を多く含み、成長促進、造血促進、体力増進などに用いられます。
植物性の生薬では、オタネニンジンの根を乾燥させた「高麗人参」があまりにも有名です。漢方では単に人参と呼びます。20数種類の人参サポニン、精油成分、多種の糖類、アミノ酸などを含み、鎮痛、インスリン作用、血糖降下作用など多くの作用があります。疲労回復のほか、冷え性、低血圧、貧血、虚弱体質の改善にも役立ちます。
ただし、いくら高価な生薬や漢方薬でも、体質に合ったものを選ばなくては、思うような結果が得られません。専門家に相談して上手に選び、まずは1カ月ほど試してみてください。