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さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話

漢方薬の原料にもなるカキの殻

冬になると、スーパーや鮮魚店などでカキが出回ります。お正月に皆で楽しんだ人もいるのではないでしょうか。

食べてもおいしいカキですが、カキの殻は飼料や肥料として利用されたり、生活用水の浄化に利用されたりと、いろいろな形で私たちの生活に役立っています。

カキの殻は漢方薬の原料としても用いられ、牡蛎(ぼれい)と呼ばれています。
牡蛎は、鎮静、収歛(れん)作用があるとされており、不安症状や興奮症状に用いられる薬などに含まれます。

代表的な処方では、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)などが挙げられます。

これらの薬は、不安になりやすい人の不眠、動悸(どうき)、息切れなどの症状に使われます。

また、牡蛎は安中散(あんちゅうさん)という漢方薬にも含まれます。

安中散は、中(おなか)をととのえて安らかにするという意味がある薬で、胸焼けや胃痛など胃の不調時に起こりやすい症状に使われることが多い漢方薬です。
制酸作用があるとされる牡蛎がバランスよく作用しているのでしょう。

現在使用されている血液検査や画像検査などがない時代に、先人たちは原料にいくつかの働きがあると経験的に知っていたことが分かります。

試行錯誤を繰り返し、原料の組み合わせを工夫してきた知恵には驚かされるばかりです。