さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話
自己判断の使用は危険なことも
先日、青黛(せいたい)という生薬(しょうやく)についてお問い合わせがありました。
青黛は、リュウキュウアイやホソバタイセイなどの葉や茎に含まれている色素で、中国では古くから使用され、日本でも藍染めの染料(天然のインディゴ)として用いられてきました。
この青黛を含む漢方薬が潰瘍性大腸炎に有効であるとされ、青黛が一時注目を集めたことがあります。
しかし、SNSや口コミの青黛に関する情報を信じ、自己判断で乱用した人の中で、肺動脈性高血圧症という重大な有害事象も起き、2016年に厚生労働省が自己判断での使用に注意喚起を行うまでの事態になって生薬会社は販売を中止しています。
このように適切に用いられなかったことで、青黛が悪者になってしまうのは残念なことです。
最近はSNSなどでダイエットや不妊に関する無責任な広告を見かけることが多く、いつか大きな事故につながるのではと懸念しています。
さて、潰瘍性大腸炎は原因が不明で根治治療はなく、日本の患者数は現在20万人を超えているといわれている病気。
最近増えている潰瘍性大腸炎やクローン病などの指定難病の炎症性腸疾患に漢方薬が奏功することはあるので、漢方を試してみたい病気の一つです。
漢方薬では、病名ではなく症状や体質を目安に薬を選びます。
安易な情報に飛びつかず、専門家に相談し、適切に試すことをお勧めします。