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さりお 寿元堂薬局のここが知りたい漢方

ニキビや吹き出物と漢方薬

ニキビなど化膿性の皮膚炎に使う漢方薬は数多い
その人の状態に適する薬、良い品質、効果的な類型を選ぶこと


先月からマスクの着用が個人の判断に委ねられるようになりました。

マスクの着用による肌荒れで悩んでいた人にとってはうれしいニュースです。反対に、ニキビで悩む学生さんなどは、マスクを外すことに抵抗がある人もいるでしょう。
いろいろな意見がありますが、何も気にすることなくマスクを外せるようになりたいものです。

さて、ニキビは学生時代に悩むことが多い症状の一つ。「青春のシンボル」といわれ、過剰に皮脂が分泌されることが原因と考えられています。

しかし、現在は10代だけでなく、20代や30代でも尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう=吹き出物)に悩んでいる人が少なくありません。ストレス、食事や睡眠などの生活習慣の乱れが関係しているのでしょう。

漢方では、ニキビを粉刺(ふんし)、酒刺(しゅし)などと呼び、炎症が強いものから弱いものまで、幅広く対応してきた記録が残っています。

暴飲暴食で悪化する場合、月経周期によって悪化を繰り返す場合、ストレスが大きく関与している場合などさまざまですが、状態によって薬が使い分けられてきました。

ニキビのような化膿(かのう)性の皮膚炎によく用いられる漢方薬には、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)や防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)などのほか、多くの薬があります。

そして、品質の良い生薬で作られた漢方薬の効果を喜んでいただくことは意外に多いものです。

つい最近もうれしいご報告がありました。

関東から倉敷に観光に来られていた女性が来局。
10年ほど前から吹き出物に悩んでおり、ドラッグストアで十味敗毒湯を試してみても効果を感じられず、煎じ薬を試してみたいとのこと。
ご相談の上、十味敗毒湯の煎じ薬をお持ち帰りいただいたところ、後日、「服用してから新しい吹き出物ができなくなった」と、明るい声でお電話をいただきました。

もちろん、すべてのケースでこのような速効が得られるわけではありません。
この女性は、肌の調子が悪くならないよう食事や睡眠などに注意しながら生活されていましたので、結果が出るのが少し早かったのかもしれません。

しかし、効果を上げるために最も大切なことは、その人の状態に適する薬を探すことはもちろんのこと、品質の良い漢方薬と効果的な剤型を選ぶことです。

不摂生をし過ぎないよう注意しながら、専門家に相談して漢方薬を上手に利用しましょう。