ホーム掲載記事さりお寿元堂薬局の漢方よもやま話

3月下旬から4月上旬にかけて、桜の開花より少しだけ早く、桃の花が開花し始めます。

桃は弥生時代に中国から伝わりました。日本の神話にも登場し、昔から魔除けの作用があるとされている存在です。

そんな桃の種子は桃仁(とうにん)といい、漢方薬の原料として用いられています。

桃仁はさまざまな漢方薬に使われていますが、「桃」という字を名前に含む、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)という薬にも含まれます。

桃核承気湯は体力があり、のぼせがある便秘傾向の人に適する薬です。
月経困難症、月経不順、骨盤腹膜炎などに用いられ、月経時や産後の不安定な精神状態の場合などに用いられます。

昔から女性の不調に用いられる機会が多い薬ですが、便秘や痔、腰痛、高血圧に伴う症状などで、体質が適している場合には男性にも用いられます。

また、体力がある女性の不調には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)という漢方薬もよく使われます。
こちらにも桃仁が含まれていますが、桃核承気湯の方が、桂枝茯苓丸が適する状態より激しい症状に使われることことが多いようです。

桃核承気湯には大黄(だいおう)と芒消(ぼうしょう)という、便を軟らかくする作用を持つ生薬が含まれるため、便秘傾向でない人は注意が必要。
桃核承気湯を試したい強い症状がある場合には、専門家に相談しながら適切に対応しましょう。