6月に入るとハスの花芽が水の中から出てきて、7〜8月頃に開花のピークを迎えます。
ハスは、直径10〜25 ㎝にもなる大きな花を咲かせ、花が終わると実ができてきます。ハスの名前の由来には、実ができる様子が蜂の巣を連想させ、ハチスからハスとなったという説があるそうです。
ハスの地下茎は、食卓でもおなじみの蓮根(れんこん)。倉敷でも連島蓮根が有名ですね。
さて、漢方の世界では、成熟したハスの実から殻をとったものを蓮肉(れんにく)という生薬(しょうやく)として用います。
蓮肉には胃腸を整える作用があるとされ、昔から胃腸が弱い人に使われる漢方薬に配合されてきました。
例えば、胃腸虚弱を改善する四君子湯(しくんしとう)がベースになっている「啓脾湯(けいひとう)」や「参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)」などに含まれています。どちらも虚弱で食欲がなく、下痢で悩むことがある人に適することが多い薬です。
また、蓮肉には精神を安定させる作用もあるとされており、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)という薬にも含まれます。
精神的な負担によって、ぼうこう炎のような 症状を起こしやすい人に 適することが多くありま す。こちらも四君子湯を ベースに組み立てられて おり、胃腸が弱い人にも 使いやすい薬です。
このように身近な食材 である蓮根の実は、生薬 の一つとして私たちを助 けてくれているのです。