剤型と効果の違い
漢方薬の効果を最大限に引き出す形は煎じ薬
剤型によって効果に大きな差が出ることがあります
漢方薬にはいろいろな「剤型」があります。剤型とは、薬の形のこと。主に「煎剤」「散剤」「丸剤」「顆粒剤」「錠剤」などがあります。
◆煎剤:漢方薬をそのまま煎じて飲む煎じ薬。
◆散剤・丸剤:粉末や丸薬にしたもの。
◆顆粒剤・錠剤:西洋薬と同じような形に加工したもの。
煎剤・散剤・丸剤は、昔から使われてきた剤型です。一方、顆粒剤と錠剤は、昭和30年代から利用されており、今では、多くが漢方薬のエキスを抽出して作った「エキス製剤」になっています。
昔の漢方薬はほとんどが煎じ薬でしたが、今の日本では顆粒剤が圧倒的多数を占め、次に錠剤などが利用され、煎じ薬を飲む人は少数です。
今も昔も、漢方薬の効果を最大限に引き出す剤型は、煎じ薬ですが、このことを知らない人が多いのが現実です。顆粒剤を漢方薬の通常の剤型と勘違いしている人が多く、さらには、エキス製剤を煎じ薬と思い込んでいる人までいて驚いたことがあります。
漢方は経験に基づいて発達しました。漢方が日本の医療を担っていた時代の古典を読んでも、漢方薬本来の効果は良質の生薬を用いた煎じ薬にあることが分かります。
このように、最も効果が出やすい剤型は煎じ薬ですが、煎じる手間を掛けずに利用するために、顆粒剤や錠剤などが工夫されました。これらはコーヒーを手軽に味わうためにインスタントコーヒーが作られたことに似ています。
エキス製剤は、煎じ薬のようなにおいがなく、保存や携帯に便利などの利点があります。しかし、本格的なコーヒーとインスタントコーヒーの味の違いよりも、煎じ薬とエキス製剤の効果の違いは大きいものです。また、同じ種類の豆から作ったインスタントコーヒーでも製造メーカーによって味が異なるように、エキス製剤もそれぞれに特徴があるものです。
現在大量に消費されているエキス製剤は、漢方薬の普及を目的として、一定の決められた製法の範囲で、効率よく大量生産されているものです。
一方、独自の製法にこだわる職人気質のメーカーの製剤もあります。それらは一部の専門家に使われています。
ですから、同じ名前の漢方薬でも、剤型や品質の違いによって、効果が出たり出なかったりすることがあるのです。
治りにくい病気や症状に漢方薬を試すことが多いもの。
どんな漢方薬を飲んでも効く時はよいのですが、効かないときには、剤型や品質による効き目の違いにも気を付けてみましょう。