原因が分からないめまい
何度も繰り返すことの多いめまいは、漢方薬を試してみるのがお勧め
この冬は暖冬といわれ、元旦から日中は春のように暖かい日があり、1月中旬には関東などで3月下旬並みの気候が記録されました。
1年で一番寒いとされる、二十四節気の大寒の20日頃から強い寒波の影響を受けましたが、その後は再び暖冬傾向が予想されているようです。このように気候が落ち着かない時季は、不調を感じる人が多いようです。特に今年は冬になりきらないような気候のため、春や秋に相談が増えるようなめまい、倦怠(けんたい)感、頭痛などの悩みで来局される人が増えています。
その中で、めまいは西洋医学の治療で一時的には改善はするものの、何度も繰り返すことが少なくない症状です。
症状が軽い場合は立ちくらみ程度に感じますが、重くなると吐き気を伴い日常生活に支障を来すこともあります。過労やストレス、睡眠不足などで誘発されためまいは、それらが解消されれば自然に良くなります。
しかし、原因が分からないケースも多く、漢方治療を試してみたい症状の一つです。
漢方では、めまいの病因を、天候など体の外からの影響や内臓の不調、さらには水毒(すいどく)や精神面などとも関係すると考え対応してきました。それらの中で、寿元堂薬局では水毒が影響していると思われるめまいの相談が多いようです。
水毒は、体内の血液以外の水分の変調のことで、水分が過剰に存在している状態や、本来あるべきところへ行き渡っていないなど水分が偏在している状態を指します。
水毒のめまいで用いられる漢方薬では、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)が有名です。
茯苓(ぶくりょう)、桂皮(けいひ)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)の4種類の生薬から構成され、それぞれの生薬名から漢字を1文字ずつとって名付けられた薬です。
中国の後漢時代の医学書「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている処方で、めまい、頭痛、のぼせ、足の冷えなどがある場合に適することが多い薬です。
その他、沢瀉湯(たくしゃとう)、真武湯(しんぶとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、八味丸(はちみがん)などの他、さまざまな薬が、それぞれの症状や体質によって使い分けられます。
めまいに限らず、症状や体質を考慮して自分に適する漢方薬を選ぶことは意外に難しいものです。
気になる不調の芽は早めに摘んでおくことが大切ですから、信頼できる専門家に相談して、適切に対応しましょう。