咳や痰の症状には多くの種類の漢方薬がありますが、
適する薬を見つけるためには専門家に相談を
明けましておめでとうございます。
今年も1年、漢方の情報を連載していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
年末は気温が乱高下するなど、安定しない気候が続きました。
これだけ寒暖差が激しいと、ただでさえ体調を崩しやすいものです。年始も何かと忙しい時期ですから、無理をしないように注意しましょう。
さて、ここ数カ月、感染症の後に咳(せき)や痰(たん)などの症状が長引いている人が多いようです。
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスがはやった影響もあり、昨年は、病院でもらう咳止めや痰切りなどの薬の全国的な不足が深刻な問題となりました。
そのような状況で運良く薬が入手できても、症状が改善せず悩んでいる人は多く、寿元堂薬局にも長引く咳や痰のご相談が一段と増えているのです。
昔から咳や痰の症状には、多くの漢方薬の中から適する薬を選んで効果を上げてきました。現在でも、漢方薬の効果を喜んでいただけることは多いものです。
長い間、咳や痰で悩んでいた人が観光で倉敷に来た時に「漢方薬でも試してみるか」と相談されることがあります。
1~2週間分ほどの漢方薬を持って帰られた後、「調子が良くなった。もっと早く漢方薬を試せばよかった」と連絡をいただいた時は、なんともうれしいものです。
ただし、症状や体質で適する薬が異なるのが漢方の世界。自分で適する薬を見つけることは意外に難しく、専門家に相談しながら試した方がよいでしょう。
長引く咳の中には、鼻水がのどに落ちてくる後鼻漏(こうびろう)が原因の場合があります。
人体では1日に2~6リットルもの鼻水がつくられ、自然に吸収したり、無自覚に嚥下(えんげ)したりしています。
しかし、後鼻漏という病態の場合は、鼻水がのどへ落ちこみ、のど付近に違和感を感じて咳込んだり、痰がずっと絡んでいるような症状が出てきます。
鼻水が原因なので、咳や痰によく用いられる漢方薬では、思うような効果が得られないことが少なくありません。
後鼻漏を本人が自覚していないこともあります。
咳や痰のご相談で漢方薬の効果がなかなか得られない時に、後鼻漏が原因であることも考慮して薬を選ぶとうまくいくケースがあるのです。
ほとんどの場合、後鼻漏は慢性化してしまうと改善するまでに根気が必要です。
早めの対応を心掛け、漢方薬を上手に利用しながら治していけばよいでしょう。