さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話
心臓病に使われる漢方薬
暖冬と言われていますが、年末が近づくにつれ、さすがに寒い日が増えてきました。
寒い季節は心臓病が起こりやすいことが知られています。
厚生労働省の統計によると、心臓病による死亡数は、冬季に集中しており、夏季と比較すると1・5倍にもなるそうです。
現在の狭心症や心筋梗塞などで起こる胸の痛みは、胸痺(きょうひ)などといって、昔から漢方薬で対応してきたことが記録に残っています。
昔は亡くなる人も多くいたでしょうが、漢方薬で心臓の不調にも対応していたのです。
また、胸の痛みだけでなく、動悸(どうき)や疲れやすさ、むくみなど、さまざまな症状を目安に対応してきた長い歴史があります。
多くの漢方薬が使われますが、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)などが有名です。
これらは、心臓に問題がなくても、不安になりやすい人の不眠、動悸、息切れなどの症状にも使われる薬です。
漢方薬の使い方のややこしいところでもあり、興味深いところですね。
心臓病は原則として病院での治療が必要な病気です。
現在の西洋医学の発展は素晴らしく、心臓病に対して外科的処置や薬の恩恵を受けられている人はずいぶん増えています。
一方で、漢方薬を併用すると調子がよい人もいまだに多いものです。体調に合わせて、自分に合う薬を上手に利用しましょう。