漢方薬は血圧を下げる特定の作用はないが、
全体を整えて症状に対応し、改善が期待できる
最近は冷え込みが強くなり、体調を崩しやすい気候になりました。これから一段と寒い季節になると、血圧が高い人は注意が必要です。
というのも、寒いと血管が収縮して、血圧は高くなることが多いためです。病院で冬だけ降圧剤を飲まれている人もいるでしょう。
高血圧の基準は、病院などの施設で測定した血圧値が、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上、自宅で測定する場合は、収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上を高血圧としています。
ただし、年齢や持病によって、この基準は変わります。
血圧は常に変動しているものです。起床とともに上昇し、活動している日中は高くなり、夜間や睡眠中には低くなるのが一般的です。また、食事やストレス、気温の変化によっても変動します。
血圧が高いと血管や心臓に負担がかかります。頭痛、めまい、肩凝りなどが起きる場合もありますが、自覚症状がないケースが大半です。
漢方薬で高血圧によく用いられるのは、大柴胡湯(だいさいことう)、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、真武湯(しんぶとう)、八味丸(はちみがん)、釣藤散(ちょうとうさん)など多くの薬があります。
これらの漢方薬は、西洋医学の薬のように、血圧を下げる特定の作用はありません。
もし、そのような特定の作用があるとしたら、先に述べた漢方薬が適するのは血圧が高い人のみになっているでしょう。
しかし、これらの漢方薬は、血圧が高くなくても高血圧以外のさまざまな症状に現在でも用いられています。
漢方薬が主流だった江戸時代に血圧計はなく、時代とともに血圧の概念が普及し、その中で血圧が下がる症例が増えていき、前述した薬が高血圧によく使われる薬として知られるようになったのでしょう。
また、どの薬も強制的に血圧を下げるものではありませんので、適する薬であれば長期で服用しても血圧が下がりすぎるなどの不都合な作用は心配ないでしょう。漢方薬で全体が整い、症状の改善が期待できます。
ただし、高血圧に対応する場合は、漢方薬であれ西洋薬であれ、不摂生を控えることはとても重要です。いくら体を整えても、不摂生がたたると薬の効果が現れにくいものです。
ご自身でも食事の改善や運動などで生活習慣を整えて養生をしながら、必要であれば薬の力を借りるようにしましょう。