むち打ちに漢方薬?
むち打ち、打撲、骨折などの外傷には漢方薬が効かない…という先入観を覆される経験
日本で西洋医学が主流になる前は、漢方医学が日本の主流医学でした。精神的な症状から肉体的な症状まで幅広く漢方で対応していたのです。
現在は西洋医学が発達し、外科的処置が必要な場合や、西洋薬を飲んでいる間に治ってしまうような一時的な症状などには漢方を用いることが少なくなってきています。
それは喜ばしいことですが、西洋医学でも対応が難しい場合や、対応した後の回復に漢方薬が貢献できるケースはまだ多くあると感じています。
その中で、漢方が効果的であることが多いけれど漢方薬での治療がイメージしにくいものとして、骨折や打撲、むち打ちなどがあります。
私もこの世界に入るまでは、そのような症状に漢方薬が効くことはないと思い込んでいました。
ところが、そんな先入観が覆されて驚嘆した経験を何度もしてきました。最近も著効例があったので紹介しましょう。
今年の4月に事故に遭い、むち打ちの症状がひどく、眠れなくなって悩んでいるという方から電話で相談がありました。
すでに病院で診察を受けて漢方薬を飲んでいるが良くならず、整体にも週に3回通い始めたものの、一向に良くなる兆しがみえないとのこと。
最初は別の漢方薬がむち打ちに効くのか半信半疑の様子でしたが、この湿気が多い気候でかなりつらい状態のよう。その日のうちに煎じ薬を試すことを決められました。
3週間後には、むち打ちの症状がかなり楽になり眠れるようにもなったというご報告。「飲んで間もないうちに楽になっていった。むち打ちに漢方薬がこんなに効くと思わなかった」とうれしいお話を聞けました。
この方の場合、事故からあまり時間が経っていない時期に漢方薬を飲み始められたため、効果が現れるのも特に早かったのかもしれません。
漢方薬を試すのは、事故や外傷を負ってから早ければ早いほどよいのですが、古い外傷の後遺症にも漢方の効果が期待できることがよくあります。過去には、高い所から落下した外傷で10年以上も後遺症を患っていたのに比較的短期間で良くなった方もいました。
根気が必要な場合もあるかもしれませんが、「むち打ちや打撲、骨折などの外傷にも漢方が効く」ことはぜひ覚えておいていただきたいものです。
ただし、手術や薬物治療が必要な場合があるので、整形外科は受診して対応しましょう。
西洋医学の処置が必要な場合でも、漢方を併用すれば回復が早まることが多いものです。上手に利用しましょう。