現在の日本では、料理の簡便化が進み、手間の掛からないインスタント食品が数多く使われるようになっています。インスタント食品が普及し過ぎると、イコール「日本の家庭料理」となってしまう日が来るかもしれません。
実は、まさにこのようなことが、漢方の世界では起こっています。
現在の日本で消費されている漢方薬は、顆粒剤や錠剤などの漢方製剤が一般的です。その多くがインスタントコーヒーと同じような製法で作られたエキス製剤なのです。これらを〝インスタント漢方薬〟と呼ぶ人もいます。
この〝インスタント漢方薬〟があまりにも多く使われているため、インスタント漢方薬イコール漢方薬と勘違いされることが多いのが現状です。
漢方薬本来の剤型のほとんどが、煎じ薬です。良質の漢方薬を煎じて飲む効果を知らないまま、漢方を誤解している人が圧倒的多数です。
ただし、顆粒剤や錠剤のインスタント漢方薬にもメリットはあります。
まず、煎じて飲む手間が掛からず手軽に服用できます。また、職場に持参したり、旅行時に携帯し
たりできるなど保存や携帯にも便利な剤型です。
手軽なインスタント漢方薬を飲むのか、手間を掛けても煎じて飲むのか…。
インスタント食品と手作りの料理の違いを区別するのと同じように、インスタント漢方薬と本来の漢方薬の違いを知った上で、用途に応じて選べばよいと思います。