花粉症と漢方
即効性を期待できることばかりではないが、継続することで改善の傾向
寒い日が続きますが、花粉症で悩む人にとってはそろそろ憂鬱(ゆううつ)な時季でしょう。2月上旬頃から花粉が飛んでいる気配を感じる人も少なくないようです。
花粉症の原因はスギが一番多く、花粉症患者の約7割はスギ花粉によるものだとされています。
平成28年に東京都が行った調査では、都内のスギ花粉症推定有病率は48.8%であり、もはや花粉症は日本の国民病となっています。
戦後復興として大量に植林されたスギは全国の森林面積の18%、国土の12%を占めています。夏が暑ければスギ花粉が増える傾向にあり、昨年の猛暑の影響で今年は花粉が多いと予測されています。毎年のことですから、少しでも症状を軽くしたいものです。
西洋医学では、抗アレルギー剤やステロイド剤などで症状を抑えます。また、体に安全な低量のスギ花粉抽出物を体内に入れ、ゆっくりと量を増やしていく減感作療法もあります。
一方、漢方では、「花粉症」という病名だけで対応する薬を考えるわけではありません。
花粉症といっても鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなど症状は人それぞれ。漢方薬を試す場合は、症状や状態を広くとらえ、アレルギーの症状に対応する漢方薬の中から、その人の症状や体質に適した薬を選ぶことが大切です。
花粉症によく用いられる漢方薬では、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が有名でしょう。水のような薄い鼻水が多量に出たり、くしゃみを連発したりするような症状によく適する薬です。
小青竜湯のほかにも花粉症の諸症状に効果的な漢方薬はいろいろな種類があるので、上手に利用するとよいでしょう。
以前より、同じ種類の漢方薬でも薬の剤型によって効果が異なることをお伝えしていますが、私自身が花粉症で困った時に粉薬では症状が治まりませんでした。そこで、粉薬で飲んだ漢方薬を煎じ薬に変えて飲んだところ、10分後には症状が治まった経験があります。
もし、錠剤や粉薬の漢方薬を試して効果がなければ、漢方薬本来の形である煎じ薬を試してみるのもお勧めです。
花粉症では、漢方薬は西洋薬の対症療法のような即効性が望める場合ばかりではありません。通常は1、2週間以内に改善を実感できるケースが多くみられます。
また、漢方薬は西洋薬との併用も可能です。継続していくうちに、次第に西洋薬の必要性が減り、根気よく継続すれば漢方薬も必要なくなっていくでしょう。