「八味地黄丸」や「疎経活血湯」などの漢方薬がある ので慢性の腰痛に悩んでいる人は一度試してみては
10月中旬から急に冷え込み、寒さで悪化しやすい不調で悩む人にはつらい季節の始まりです。
寒い季節に、相談が増える症状の一つに腰痛があります。
腰痛は多くの人が悩んでいる症状です。腰は、月(にくづき)に要(かなめ)と書くように、体にとって重要な部位です。
そのため、腰に不調を感じると、どうしても日常生活に支障を来してしまいます。
私も一度だけぎっくり腰になったことがありました。普段何気なくしている動作でも、こんなにも腰に負担をかけているのかと驚いたものです。
腰痛といっても、腰部椎間板(ついかんばん)ヘルニア、腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症、骨粗しょう症、腰椎分離症、腰椎すべり症など、さまざまな診断名が挙げられます。
原因とされるものもさまざまで、日ごろの姿勢の悪さや、内臓疾患が影響するものなど多様です。
中には、ストレスなどによる精神的な要因もあるでしょう。
いろいろな診断名や原因がありますが、漢方薬は症状や体質によって適する薬を選びます。
診断名や原因にとらわれすぎないことが大切です。
さて、腰痛によく用いられる漢方薬をいくつか紹介しましょう。
八味地黄丸(はちみじおうがん)は、「金匱要略(きんきようりゃく)」(中国・後漢)に記載される薬で、口の渇き、夜間頻尿、冷えが気になる人の腰痛に適することが多い薬ですが、牛膝(ごしつ)、車前子(しゃぜんし)を加えて牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)としても使われます。
八味地黄丸は、腰痛以外にも排尿障害や、下半身の運動機能の低下、疲労感などの「腎虚(じんきょ)」と呼ばれる、加齢に伴う不調の改善にもよく用いられる応用範囲の広い薬です。
また、疎経活血湯(そけいかっけつとう)もよく腰痛に用いられる薬の1つです。
「万病回春(まんびょうかいしゅん)」(中国・明)という古典には、「腰痛は酒を飲む人に多く、冷えによってひどくなる」と書かれています。
冷えて悪化しやすく、夜間に痛みがひどくなる腰痛には、疎経活血湯が適することがあります。
私がぎっくり腰を患った時には漢方薬に助けられましたが、一時的な腰痛の場合であれば、安静にしておけば自然に治まることも多いでしょう。
しかし、慢性の腰痛はなかなか簡単に改善してはくれません。
腰痛に漢方薬が奏功することは少なくありませんから、一度試してみてはいかがでしょうか。