7月に入り厳しい暑さが続いています。
うだるような暑さには気が滅入りますが、花火やお祭りなどの楽しみが多い季節でもあります。
花火やお祭りといえば夏の風物詩。
今では見かけなくなりましたが、「枇杷葉湯(びわようとう)売り」は江戸時代の夏の風物詩の一つでした。
枇杷葉湯といっても枇杷の葉をただ煎じたものではありません。
乾燥した枇杷の葉に甘草(かんぞう)、莪朮(がじゅつ)、呉茱萸(ごしゅゆ)などの生薬(しょうやく)を細かく切って混ぜ合わせて煎じたものです。
枇杷葉湯の処方は幾つかあるようですが、体の熱気を取り除く暑気払いや水あたりなどで起こる下痢止めなどに用いられ、庶民に親しまれていたようです。
京都の烏丸(からすま)には枇杷葉湯売りの本家があり、通行人に枇杷葉湯を無料で試飲させながら販売していたそうです。
夏の暑さに負けず、枇杷葉湯の入ったてんびん棒を肩に担いで街を歩くその姿に、ついつい手が伸びてしまう人々の姿が目に浮かびます。
枇杷の葉は民間療法でもあせもや湿疹に広く用いられてきたものの一つです。果実も食用や薬用酒として用いられることもあり、楽しみ方もさまざまです。
枇杷の葉以外にも、漢方薬と民間療法のどちらにも使われてきたものは少なくありません。
しかし、使い方はそれぞれ異なりますから、まずは専門家に相談して上手に利用しましょう。