漢方薬といえば内服薬をイメージする人も多いのではないでしょうか。
しかし、漢方薬にもさまざまな剤型があります。
錠剤、顆粒(かりゅう)剤、薬草を煮込んで作る煎じ薬などの内服薬のほか、服用せず患部に塗布する外用薬もあります。
漢方の外用薬の中でも有名なのが「紫雲膏(しうんこう)」です。
紫雲膏は、江戸時代に全身麻酔による世界初の乳がん摘出手術を成功させたことで知られる外科医・華岡青洲が創った軟膏です。
中国の明の時代の医学書「外科正宋(げかせいそう)」に載る「潤肌膏(じゅんきこう)」を工夫したもので、紫根(しこん)、当帰(とうき)、ごま油、ミツロウ、豚脂(とんし)の5種類から構成されます。
よく肌を潤し、皮膚の再生機能を促進して患部をきれいに治します。肉芽(にくげ)形成を助け、肌を平らにするのです。
使用目標としては肌の乾燥、荒れ、潰瘍などがありますが、やけどや切り傷、ひび割れ、あかぎれ、湿疹などの幅広い皮膚疾患に応用されます。
ファンの多い紫雲膏ですが、かくいう私もその一人。
うっかり包丁で切ってしまった指先も、紫雲膏を塗布すれば不思議と痛みがひきます。
西洋医学の外科的処置はかなり進歩していますので、処置の仕方に迷うような外傷は病院に行きましょう。
しかし、病院に行くほどでもない日常の小さな傷や、病院の手当てで止血できた外傷などは紫雲膏を試してみてはいかがでしょうか。