リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A
疲れやすくて困っています
Q 4、5年前から疲れやすくなり、今では体がだるく、横になりたいこともしばしばです。病気はないのですが、夜に眠れないことも多く、不安になることがあり、意欲が湧きません。漢方薬を含めて、いろいろな薬を試してみましたが… (44歳、女性)
全身の状態に適した漢方薬を選びましょう
A 身体が衰弱疲労して、気力、体力ともに衰えた状態を漢方では虚労といいます。〝気力、体力ともに衰えた状態〟というと大げさに思えますが、軽症から重症まで幅広い症状があります。
病気によるものを除けば、過労や心労によって虚労になります。
過労は体力のあるなしにかかわらず、その人にとっての働き過ぎなど、肉体的な問題です。心労はストレスなどを含めた精神的なものです。
また女性の虚労は、感情の影響やホルモンのアンバランスから起こるものもあります。
どれも一時的なものなら大きな問題にはならないでしょうが、長く続くと虚労に陥ることも。
虚労を回復して元気を取り戻すためには、心身のストレスの度合いなどを含めて、全身の状態に適する漢方処方を選ぶ必要があります。
あなたがどんな漢方薬を試されたのか分かりませんが、疲れるからというだけで元気をつける薬を飲んでも思うような効果を得られないことがあります。
虚労を回復するための漢方薬の中で、一般に入手しやすい漢方薬を簡単に紹介しましょう。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん) 貧血、体の衰弱、痩せるなどの症状があり、発熱するような状態に使われ、女性に適することが多い薬
- 帰脾湯(きひとう) 心配事に大きく心を乱されることによって虚労の状態になるものに用いる
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 虚弱傾向で、不眠や動悸(どうき)があり、手足が冷えやすい人に適することが多い薬
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 全身が衰弱して、貧血や皮膚の乾燥があり、痩せるほど体力が低下している状態に適した薬。高齢者や虚弱な人で、とりとめのない症状で虚労になった人に用いることもある
- 小建中湯(しょうけんちゅうとう) 虚弱で疲れやすい人や、 普段は丈夫でも疲れ果てている人で、腹痛があるときに使いやすい薬
- 八味丸(はちみがん) 高齢者に適することが多い薬。小便の回数が多かったり、少なかったり、夜間に小便に起きたりして、口渴、腰痛、手足の冷えなどがある人に
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 手足がだるく、話す言葉が弱々しく、目に力がないような状態の人に使われる
- 牛黄(ごおう) 少し入手しにくいかもしれませんが、動物生薬の牛黄も虚労の改善によく使われます。牛の胆石を乾燥させたもので、多くの効能があり、気力、体力の回復に速効が期待できます。市販の医薬品にも配合されるものがありますが、良質の牛黄を粉末にして飲むのが最も効果的です。