Q 健康診断で子宮筋腫(きんしゅ)が見つかり、月経痛がひどいこともあって手術を勧められました。漢方薬で小さくなりますか。 (38歳・女性)
筋腫の消失・縮小の例が少なくありません
A 子宮筋腫は、日本人女性にとても多く見られるポピュラーな病気で、30代女性の3人に1人がかかっているというデータもあるほどです。
小豆粒くらいの小さなものから野球ボールくらいまで、大きさは人それぞれ。主な症状は、生理の異常と不正出血。生理のときに大量の経血がある、月経痛がひどい、貧血になる…などの症状が一般的です。
良性の腫瘍なので直接命にかかわるものではありませんが、不妊や習慣流産の原因の一つになるともいわれています。
症状がひどかったり、筋腫が大きくなり過ぎていたりすると、取り除くための手術を勧められることが多いようです。
子宮筋腫に限りませんが、漢方では、女性に関する不調は、瘀血(おけつ・血液が滞っている状態)によってできるものととらえ、駆瘀血剤を用います。
あるとき、40 代の女性が寿元堂に来店され、「子宮筋腫が6㎝になっていて強い月経痛があります。手術はしたくないので漢方薬を飲みたいです」と相談されました。
その方の体質や症状を見て桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の煎剤を用いたところ、2カ月後には月経痛の症状が改善しました。その後、1年半続けて飲んだところ、病院の検査で子宮筋腫は消えてなくなっていました。
このように少し時間がかかるケースもありますが、わずか3カ月で筋腫がなくなったという例もあります。たとえ消えなくても、大きな筋腫が小さくなることもまれではありません。
子宮筋腫に使われる主な漢方薬を挙げてみましょう。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 中国の後漢の時代の書「金匱要略(きんきようりゃく)」に掲載されている処方。駆瘀血剤の代表的な漢方薬です。体力は中くらいかそれ以上の人に適し、頭痛、肩凝り、めまい、のぼせ、足の冷え、月経異常、下腹部の膨満感、肌の黒みなど一般的な瘀血症状が目安になります
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう) 体力があり、便秘傾向の人に。月経異常やのぼせなどの瘀血症状とともに、不眠、興奮、不安などの精神症状が目安
- 帰脾湯(きひとう) 体力があまりない人。貧血で顔色が悪く、精神不安、不眠などの精神症状を訴える人に
- 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう) 比較的体力があり、下腹部が緊張し、便秘をしているような人に
体質や症状に合った漢方薬で、月経痛や出血過多が改善されるケースもよく見られます。専門家によく相談しましょう。