お知らせ大先生 不在のお知らせ
ホーム掲載記事リビング寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A
リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

不妊の原因が夫にある場合はどうすれば?

Q 結婚して3年がたちましたが、妊娠せず、産婦人科を受診しても私には原因が見当たりません。夫に検査を受けてもらったところ、精子の数が通常より少ないようです。漢方薬を試したら効果がありますか。 (33歳・女性)


 昔から「不妊は女性に原因がある」と考える風潮がありましたが、江戸時代には、男性の不妊症を指摘する漢方家もいました。

西洋医学の進歩によって、不妊のメカニズムがある程度明らかにされてくると、女性に原因があるケース、男性に原因があるケース、女性にも男性にも原因があるケース、男女ともに原因が見つからないケースなど、いろいろだと分かってきました。

最近は、男性に原因があるとされるケースが増えているようです。男性不妊の原因は精子に関することが多く、痛みなど自覚症状がありません。

そのため相談者のように、妻が産婦人科を受診して問題が見つからず、妻から病院に行くように言われた夫がしぶしぶ受診して初めて男性不妊が発覚するケースがよくあるようです。

精液検査をしてみて、精子の数が少ない「精子減少症」、活発に運動する精子の割合(運動率)が低い「精子無力症」、精子の数が少なく運動率も低い「精子減少・無力症」などであれば、男性不妊症といえます。

中国の明の時代の名医、王皇堂(おうこうどう)先生の著「証治準縄(しょうじじゅんじょう)」にも、「上手な医師は、不妊に対して、男性に精力をつけることを必要とし、女性に月経を整えることを先決とする」と書かれています。

そして夫婦の状態に応じて、女性に使う漢方薬、男性に使う漢方薬がいろいろ紹介されています。適切な漢方薬を飲んで男性に精力がつけば、精子の数が増え、運動率が改善され、妊娠の可能性が高まります。

男性に飲んでもらう漢方薬には、「鹿茸大補丸」(ろくじょうたいほがん)、「十全大補湯」(じゅうぜんたいほとう)、「補中益気湯」(ほちゅうえっきとう)などがあります。

なお私の経験では、男性に原因があるとされたケースであっても、女性だけが漢方薬を飲むことで妊娠することがよくありました。

さらに、女性も男性もそれぞれ漢方薬を飲むことで妊娠の可能性が一層高まると実感しています。夫婦ともに体質が改善されて相乗効果を生むのでしょう。

精液の中に精子が見つからない「無精子症」の場合、妊娠は難しくなります。

しかし、以前、無精子症と診断された男性が、漢方薬を飲んでしばらくして子宝に恵まれたことがありました。

「(妻の)卵管が詰まっている」などの器質的な大きな原因がなければ、漢方は不妊症の改善に効果があります。試してみる価値があるでしょう。