子供の蓄膿症がなかなか良くならない…
Q この春、小学1年生になる子供のことです。2年前に蓄膿症と診断されてから通院を続け、ドクダミ茶を飲ませたりもしていますが、なかなか良くなりません。漢方薬を試させたいのですが。 (34歳・女性)
A 春からのご入学、おめでとうございます。真新しいランドセルを背負うわが子の姿に成長の喜びを感じていらっしゃることでしょう。同時に親としては、子供の体質や体調管理が気になる時ですね。
前回は花粉症についてお話ししましたが、今回は同じく鼻にかかわる疾患で、子供に多い蓄膿症についてお話しします。
いわゆる蓄膿症は、「慢性副鼻腔炎」という病気で、鼻の奥にある副鼻腔という空洞に膿がたまる病気です。
症状としては、鼻が詰まったり、鼻汁がのどに下りてきたり、頭痛や頭重がある場合もあります。勉強やスポーツにも集中できないと悩む声もよく聞かれます。
慢性になると治りにくく、耳鼻科に長く通い、ひどい場合は手術をしなければなりませんが、その後も再発を繰り返す人が多いようです。
一方、漢方ならではの鼻の病気の呼び方があり、鼻炎や蓄膿症などで粘りの強い鼻汁が出る状態を「鼻淵(びえん)」といいます。また鼻詰まりの状態を「鼽(きゅう)」といいます。
処方は体質や症状に合わせて用いるのが基本です。
まず鼻詰まりのある人には、葛根湯加辛夷川芎(かっこんとうかしんいせんきゅう)や辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)などを用います。
葛根湯加辛夷川芎は、体力は普通で肩凝り、頭痛、頭重などの症状を伴うときにいいでしょう。
また辛夷清肺湯は、副鼻腔の粘膜が萎縮し、鼻汁、鼻閉があり、ときには悪臭をきたす場合などに効果的です。
ちなみに辛夷とは、ちょうどこれから咲く白いコブシの花のつぼみのことで、漢方では消炎、鎮痛などに使われます。
また、春に黄色い花を咲かせる連翹(れんぎょう)の実も鼻の病気によく使われ、その代表的な処方が荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)です。消炎、利尿、排膿、解毒の作用があり、鼻だけでなく耳の病気にも用います。
どの処方も、だいたい2~3カ月ほども続ければ効果の有無がはっきりしてきます。効果があるようなら服用を続け、もし効果がなければ再び専門家に相談してください。
どの漢方薬でも同じことがいえますが、子供さんの場合、飲みやすさから、煎(せん)じ薬より錠剤を希望する方が多いようです。
しかし、本来の煎じ薬に比べると、少し効果が弱い場合が多いので、気長に続けることが体質改善への近道といえます。