虚弱なわが子、新学年が心配です
Q うちの子供は小柄でよく「疲れた」と言い、たびたび風邪をひきます。食も細く、体調が悪いときは吐(は)くこともあります。新学年を迎える4月は環境の変化が心配です。虚弱児には漢方薬がいいと聞いたのですが。 (32歳・女性)
A 学校へは行くけれどいろんな不調を訴える、風邪をひきやすく疲れやすい。こうした「虚弱児」と呼ばれる子供は意外と多くいます。
ほとんどの子供は肉体的な病気があるわけでなく、あっても一時的なもので、慢性病を持った子供は1割程度といわれています。
一時的な症状とは、風邪、頭痛、便秘、下痢、風邪、発熱、湿疹(しっしん)、食欲不振、嘔吐(おうと)などさまざまです。放っておくと本当の病気に発展することもあるので要注意です。
また、虚弱児の発症には心因も重視されています。
環境が変わったばかりの4月、5月は、虚弱児以外の子供であっても体の変調を訴えることが多い時期です。日ごろからお子さんの体調を気にかけて、サインを見逃さないでください。
西洋医学では、虚弱児の対症療法として薬を処方すると共に、生活リズムの改善、適度な運動を指導します。
一方漢方には、虚弱児の体質と症状を総合的に考えた処方が多種類あり、子供の状態によって最もふさわしい処方を選びます。これらの漢方薬は、精神的に落ち着かせる点でも有効です。
まず、消化器の弱いタイプの場合、体力がなく、顔色が悪く、腹痛があるような子供には小建中湯(しょうけんちゅうとう)がいいでしょう。また、虚弱性が強く風邪を引きやすいタイプには柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)が効果的です。このほか食欲がない、疲れやすいという子には小柴胡湯(しょうこさいとう)をよく用います。
次に、神経過敏なタイプの場合、柴胡加龍骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という処方を用います。
漢方薬を試し始めて1~2カ月もすれば効果が現れ始めます。これを励みに続けて、体質改善をすると良いでしょう。次第に不調を訴える回数が減り、やがて漢方薬を飲まなくてもよくなります。
上手な漢方利用と共に、お母さん方にはお子さんの食生活に関心を持ってほしいと思います。
食事がインスタント食品だったり、お菓子を食べて食事を抜いたりという子供がここ最近急速に増えています。
漢方薬は自然治癒力を上げるもの。
体をつくり、体調を整える基本となる穀類、野菜、魚、肉、海藻などをバランスよくとらなければ効果が上がりません。
「コンビニがおふくろの味」と言われないように、三度の温かい食事を食卓に上らせてほしいものです。