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リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

花粉症を克服したい

Q 今年は花粉の大飛散が早くから報道され、花粉症持ちの私は大変不安に感じています。毎年いろんな薬を試していますが、なんとか根本治療できないものでしょうか。 (36歳・女性)


 年々、花粉症を発症する方が増え、当店に相談に来られる方も増えました。あなたのように、「今年は特にしっかり対策を講じなくては…」と考えている方も多いようです。

そもそも花粉症はアレルギーの一種で、体が過剰に免疫反応を起こしている状態にあります。

アレルギー反応を起こす原因(アレルゲン)には、花粉のほかにハウスダスト(家のほこり)、ダニ、卵、牛乳、大豆、繊維などさまざまなものがあります。

いったんアレルギー症状を起こすと、その物質が体に入ってくるたびに鼻、目、皮膚などに症状が現れます。

以前は子供の病気と思われていたアトピー性皮膚炎や気管支ぜん息などのアレルギー疾患も、今では年齢を問わず、誰が発症しても不思議ではなくなっています。

環境汚染や生活様式の変化で、さまざまなアレルギー疾患が増加したのです。

抗ヒスタミン剤などの西洋薬はこれらのアレルギー症状を一時的に抑える効果がありますが、続けても根治は難しく、また副作用の問題もあります。

一方、漢方では完治させることを目的にしますが、一時抑えの効果は西洋薬ほど強くないことが多いものです。西洋薬と漢方薬を併用しても良いでしょう。

さて、さまざまな症状を「気・血・水の変調」と考える漢方では、花粉症などのアレルギー性鼻炎についても 体内の水分代謝の変調(水毒) と考え、水分代謝を整える漢方を処方します。

その代表的なものに、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)があります。これは後漢の時代の書物「傷寒論」に載っており、麻黄、芍薬、甘草、桂枝、細辛、半夏、五味子、生姜の8種類の薬草が調合されています。

その処方は「治傷寒表未解、心下有水気、乾嘔或咳、或噎、或喘」とあります。

これは、心下部(みぞおちの辺り)に水が多く、身体の表面に異常があり、その水が動揺して上に昇り、くしゃみの頻発、鼻水過多となり、はなはだしい場合は涙が出て、よだれを流すなどの症状の時に用いるというもの。

つまり、小青竜湯は、現代の花粉症特有の発作によく効くということなのです。

そのほかにもは多くの漢方がありますが、大切なのは、本人に最もよく適応するものを選ぶことです。

たいていは1~2カ月もあれば効果の判定ができますが、体質改善を目的に使う場合は、2~3カ月以上の期間が必要になります。

専門家とよく相談して、体質と症状によく合ったものを選んで服用してください。