結石ができる体質の改善は?
Q 2年前の夏、胆のう結石で腹部に激しい痛みが走り、胆のう摘出手術を受けて、石を取り除きました。あの時の痛みを思い出すと、再発したら…と恐ろしく思います。再発を防ぐのに漢方療法が良いと聞いたので教えてください。 (47歳・女性)
A 結石には「胆石症」と「尿路結石症」が多く、いずれも汗をかいて体内濃度が高まる夏場、それも朝方に激痛が走りやすいといわれます。
これからの季節、水分を多めにとるなどして、気を付けたいですね。
胆石は、中年以降の人の15人に1人が有し、女性患者は男性患者の2、3倍といわれています。
最近ではコレステロールを主成分とする胆石が増えているそうですから、欧米化してきた食生活が大きく影響していることは否めません。
胆石ができると腹痛、黄疸(おうだん)、悪心、嘔吐(おうと)などの症状が表われます。
そして油っこいものを食べたときや暴飲暴食、過労時に、「胆石疝痛(せんつう)」という耐えがたい激しさの腹痛発作に襲われるのです。
西洋医学では、結石の溶解剤を飲んだり、衝撃波で胆石を除去したり、胆のうを胆石と共に切除する手術を行います。
漢方治療ではまず痛みを抑えることから始め、次に胆石の排出と体質改善を行います。
例えば、「大柴胡湯(だいさいことう)」は、痛みをとりながら胆石を作らない体質に変えていきます。「漢方処方解説」によると、肥満あるいは筋骨たくましく充実緊張した人に大柴胡湯が適するとあり、自覚症状がある場合は、早ければ2~3日以内に、遅くとも約1カ月以内には変化が現われるはずです。
一方、尿路結石は、腎臓や膀胱(ぼうこう)、尿管、尿道などに石がたまる病気です。
石の成分から見て、尿酸値の高い人に「尿酸結石」が、腎炎や膀胱炎を起こしやすい人に「燐酸マグネシウム結石」ができやすいようです。
漢方では、尿路の症状を気淋(りん)・沙(砂)淋・血淋・膏淋(こうりん)・労淋の5つに分けています。尿路結石は砂淋で、尿路結石に伴う血尿は血淋となります。
こうした考えに基づき、古くからさまざまな処方が考えられていて、代表的処方に猪苓湯(ちょれいとう)があります。
これは排尿痛や血尿に効果的で、小さな石なら尿と一緒に排石され、石がたまらなくなり、また、石で傷付いた粘膜も丈夫になります。
このほか防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)など、多数の漢方薬が使われます。上手に使えば数日で発作が治まることも少なくありません。
漢方は、体質、症状に合わせて使わないと本来の効果が得られません。専門家に相談されることをお勧めします。