動脈硬化が心配です
Q 先日、健康診断を受けたところ、悪玉コレステロールと中性脂肪が急増しているので、高脂血症や動脈硬化に注意してくださいといわれました。私の母も、生前、動脈硬化症を患っていたので心配です。 (49歳・女性)
A 50歳前後の女性に、悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪の急増が多く見られます。これは、更年期に伴い、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌量が減少するからです。これが「アテローム性動脈硬化症」の一因となっています。
つまり、悪玉コレステロールが血管の内壁に沈着して、アテロームという黄色いドロドロの塊ができ、血管を狭くするのです。
メタボリックシンドロームといって、腹囲85㎝以上(女性は90㎝以上)で内臓脂肪が多く、高血糖・高血圧・高脂血症のいずれか2つ以上を兼ね備えている人は、特に要注意です。
食生活の改善や運動不足の解消に努めてください。
また、血管の壁が老化することで弾力性が失われる「細動脈硬化症」もあります。動脈硬化自体には自覚症状がないので、見逃しがちなものです。
しかし、体のさまざまな場所で血の巡りが悪くなったり、血管が詰まったり、破裂すると、体に重大な異変をきたし、これらを動脈硬化〝症〟と呼ぶのです。
脳の血管が狭くなると、頭痛、目まい、のぼせ、耳鳴り、判断力の低下などの症状が現れ、「脳卒中」が起こりやすくなります。心臓で起これば「心筋梗塞」、腎臓でなら「尿毒症」が生じやすくなります。
食生活の欧米化が進む日本人は、今、アテローム性の動脈硬化症が年々増えているようです。
そんな人に役立つ代表的な漢方薬の一つが、釣藤散(ちょうとうさん)です。
釣藤散は、釣藤、橘皮(きっぴ)、半夏(はんげ)、麦門湯(ばくもんとう)、茯苓(ぶくりょう)、人参(にんじん)、菊花(きっか)、防風(ぼうふう)、甘草(かんぞう)、石膏(せっこう)、生姜(しょうきょう)などの薬草を組み合わせたもので、高血圧症、動脈硬化症、神経症、メニエル病、更年期障害などによく使われます。
この釣藤散を西洋医学の手法で調べたところ、血圧の安定作用に加え、善玉コレステロールを増やし、悪い中性脂肪を減少させるため、動脈硬化の予防に大変優れていることが分かっています。
また、動脈硬化だけでなく、狭心症や心筋梗塞にも期待できるのが特長です。少々時間がかかっても、体質改善をしていきたいものです。
ただし、強い発作には西洋医学の強力な薬でないと対応できません。西洋医学と漢方の双方の良さを上手に利用してください。