年齢とともに太り続けています
Q 年をとるにつれて、年々太っています。先日も、昔の礼服を着ようとしたら、きつくて入りませんでした。夕食の残り物などを片付けようと食べることに専念し続けて、だいぶ年月を重ねてしまいました。主人にもやせるように言われるのですが…。 (45歳・女性)
A これからクリスマス、お正月がやって来ます。おいしいものをたらふく食べて、太りやすい時季。油断大敵ですね。
当薬局にも、時折、ファッションへの関心が高い若い女性から、医師からやせるように言われた中高年まで、いろんな方が、やせる漢方薬はないかと訪ねてきます。
結論から申しますと、やせる漢方薬はあります。ただし、漢方薬を飲んだからといってすぐやせられるものではありません。
やせられるかどうかは、普段の食生活、運動習慣など本人の努力が必要。そのような努力をしなければ、いくら漢方の力を借りたところで、良い結果を期待するのは虫が良すぎるのです。
最近は、メタボリックシンドロームといって、内臓脂肪が蓄積し、糖尿病、高脂血症、高血圧症など複数の生活習慣病を併発した状態のことが、メディアでよく取り上げられます。
内臓脂肪肥満の目安は、へその上を通る腹囲が男性なら85㎝以上、女性なら90㎝以上。将来、動脈硬化による心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞などを引き起こしやすく、国を挙げての予防策が講じられています。
西洋医学でも、エネルギー消費促進薬(甲状腺ホルモン)、食欲抑制薬、消化吸収阻害薬、脂質代謝阻害薬、ホルモン分泌異常改善薬など、いろいろな薬剤が開発されていますが、思うような効果が得られていません。
一方、漢方薬は、副作用もないので、真剣にやせたい方に試してもらいたいものです。
その人の体質に応じて漢方薬を選びます。代表的なものを見ていきましょう。
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
体力が充実していて、便秘がちで、へそを中心に膨らんでいる、いわゆる太鼓腹の人に。肥満が過食から生じることから、食毒・水毒などの毒物を発汗、利尿、便通などによって排泄する - 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
体力がなく、色白で筋肉が柔らかく、水太り体質の人に。このような人は、漢方では、水毒があると考え、浮腫や関節の腫れがあることが特徴。疲れやすく、足が冷えて、口の渇きがある。中高年女性が多い - 大柴胡湯(だいさいことう)
体力が充実していて、上腹部の痛みを伴う人に。筋骨たくましく、脈には力があり、腹部が緊張していることが多い
漢方では、肥満を体の異常の一つとしてとらえて処方します。漢方を飲み始めて、体調が良くなることも期待できます。