Q 軽い不整脈を患っています。病院では、治療するまでもない程度と診断していただきましたが、体を動かしたときなど少し気になります。漢方薬がよく効くと聞きました。副作用がないのなら、試してみたいのですが。 (62歳・女性)
A この方がおっしゃる通り、不整脈は、漢方薬が意外と奏功する症状の一つです。
西洋医学の現場では、近年、軽微な不整脈なら観察にとどめるという考え方が強まっています。強い薬を長期間用いて治療することで、副作用の問題が生じるからです。
しかし、脈が飛ぶのが気になる、不安に感じることで余計にドキドキすると訴える方も多いようです。
原因疾患として、虚血性心疾患、心筋症、弁膜症、先天性心疾患、甲状腺機能異常、貧血などがあり、これらの症状のある人に、不整脈は多く見られます。
脈のパターンはさまざまで、脈が速くなるのが「頻脈」、脈が遅くなるのが「徐脈」、時々脈が飛ぶのが「期外収縮」です。動悸の後に目の前が真っ暗になったり気を失う人は、放置せず、病院で診察を受けてください。
ほとんどの不整脈は治すことができ、体内に取り付けるペースメーカーや、手術をしなくても取り付けられるカテーテルアブレーションなどもあります。
一方、私どもの薬局で相談が多いのが、「心房細動」です。
心臓の心房が震えるように動くだけで収縮せず、空振りのような拍動になり、血液はほとんど送り出されず、脈が不規則になるという不整脈の一つです。
慢性になると、動悸や息苦しさなどの症状が現れ、心臓の働きが弱ります。また、心臓の中で血液が固まりやすくなり、脳梗塞を引き起こすケースもあります。
漢方では、原因疾患によって不整脈を区別するのでなく、精神状態を含めた全身の状態からとらえようとします。
また、隋の医書「諸病源候論」には、「虚労」(体力が弱り疲労しやすい状態)によって「心気不足」(気分がいらいらして落ち着かない状態)になると驚きやすく動悸がするといい、また「虚労」のために「血気」が衰えると脈が緩やかになる、または欠するとあります。
不整脈に奏功する漢方薬にもいろいろあり、体質と症状に合わせて選びますが、即効が欲しいときは、生薬の「牛黄(ごおう)」を単体で服用しても良いでしょう。
牛黄は、牛の胆のうにできる結石のことです。古くから心臓の薬として定評のある「六神丸」や「救心」の主な構成生薬でもあります。
牛黄を上手に利用すると1~2カ月以内で変化を実感する人が多いものです。適切に使えば副作用もありません。専門家にお尋ねください。